SSブログ

カンディンスキー:インプロヴィゼーション(4) [スケッチ・美術系]

improvisation2_1.jpg カンディンスキーの抽象画への道、その2:インプロヴィゼーション。彼はこう記しているそうな。「無意識な大部分は突然に成立した内面的性格をもつ精神過程の表現、つまり〝内面的な自然〟の印象。この種のものを、私は〝インプロヴィゼーション(即興、improvisation)〟と呼ぶ。

 作例に1910年「インプロヴィゼーションⅣ」を挙げよう。彼は子供時分に伯母から繰り返し聞いた中世物語を心の中に膨らませていたのだろう。絵は帆船が襲われるシーン。右下に死んだ馬か。大砲の砲筒があり、その上に射撃手が並ぶ。銃口先に連なる白煙。傾く帆船、必死にオールを漕ぐ人、左舷着弾の水柱。画面上は絞首刑の人々、血に濡れた赤い月、雷鳴が響いている。(写真は〝即席〟模写)

 「即興(インプロヴィゼーション)」とは云え、前作「インプレッション」に比して、この絵は作者内面で充分に発酵形成された映像だろう。心の奥の熟成画像の〝即興表現〟と捉えたらいいだろうか。

 彼は42歳の頃に「シュタイナーの神智学」(人間界は物質界、魂界、霊界の三つで~云々の神秘主義)に夢中だったそうな。その内容は知らぬが、心の中で映像を形作る訓練にはなったと思われる。小生だって、子供時分は心のなかで映像を浮かべる経験もしたかと思うが、今は耄碌して、そんな感性は失った。

 ドイツ中世物語にも興味なしだが、孫が遊びに来る度にせがむ絵本「おむすびころりん」物語を、こんな調子で描くことは出来るかも知れない。画面中央下にネズミの饗宴。上部に抜ける穴。穴の上は斜面で「おむすび」が転がって、爺さんと狸が走っている。右下に爺さんを待つ婆さん。左上に小槌と溢れ出た小判。左下に強欲な爺さん婆さん。そんな絵を描き上げれば、孫の心の奥と響き合えるかも知れない。だが、孫はカンディンスキーより断然ショアン・ミロの絵の方が好きだと言いそうだな。次は「コンポジション」ヘ。

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。