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年たけて又越ゆべしと思きや~ [暮らしの手帖]

NISAKA.JPG.jpg 目崎徳衛著『芭蕉のうちなる西行』に、「愛唱の西行歌は」と問われて『新古今集』の「年たけて又越ゆべしと思きや命成けり佐夜の中山」(『西行全歌集』表記)を挙げた、と記されていた。

 西行二度目の陸奥への旅。東海道は大井川を越え、掛川〝日阪〟山中の急坂で詠んだ歌。年たけて=時を経て。べし=にちがいない。伊藤博之著『西行・芭蕉の詩学』には、思きや=過去視点から現在を余命と虚構化した言葉と説明。歌の意は~年老いて、また佐夜の中山を越えられたのは命あってこそだろう。

 この歌に通じる芭蕉句が『野ざらし紀行』の「死にもせぬ旅寝の果よ秋の暮」。42歳の実感句。田中優子先生が好きな句と挙げていた。

 小生、東京五輪は二十歳の生意気盛り。うるさい東京を脱出して、友人と伊豆で遊び過ごした。そして再びの東京五輪。「年たけて又見ゆべしと思きや命成けり五輪イヤーよ」だ。五輪を迎えるココロは、二十歳の時と変わらない。大勢の人々が夢中で浮かれはしゃいでいれば、身体の奥底から〝警戒せよ〟の声が聞こえてくる。案の定、為政者らは五輪を己のために取り込もうとしている。嫌いなタレントが「さぁ国民一体で盛り上がりましょう」と言っていた。〝馬鹿じゃないか〟と思った。

 12月のテレビが「米中バブル崩壊前夜か」を放映していた。米国は不動産急騰でバブル崩壊直前。中国経済も危険水域。そして囁かれる「オリンピックの呪い」。その番組を観て、読みたくもなかったが新年早々に白井さゆり(元日銀審議委員)著『東京五輪後の日本経済』、米国兵器爆買いで首がまわらなくなった日本の実態を調査報道した東京新聞社著『兵器を買わされる日本』を読むことに相成候。とても五輪だと浮かれちゃいられない「明けましておめでとうございます」です。

 カットはアップ済の広重『狂歌入東海道/日阪』の図。弥次さん喜多さんは日阪宿で、居合わせた巫女親子と酒宴の大騒ぎ。喜多さん、調子に乗って夜這いした。悦楽の契りを結んだ後で、相手が婆さんだったと知って慌てて逃げようとするが~。なにやら金髪爺さんに幼児性丸出しで擦り寄り、後で相手の手管に嵌められたと気付いて大慌て~と思ってしまう。

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