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「書斎本」から亡き方々の書斎 [暮らしの手帖]

syosaitatujin_1.jpg 年末に机上整理をしつつ『書斎の達人』(2008年刊、写真)と『書斎探訪』(2012年刊)を読んだ。雑誌「男の隠れ家」連載「男の書斎」をまとめた2冊。

 両書に全44名登場。11年前と7年前の刊ゆえ既に故人の方も多い。他の方々も今は80~90代。「書斎」テーマも「晩年の生き方」テーマを含んで面白かった。まずは故人になられた方々の〝書斎〟を数行でまとめてみる。

 演出家・蜷川幸雄氏。2016年に80歳没。娘は母屋と別に建つ書斎を「父の秘密場所、独特の空気感」。60歳前に蔵書処分も壁いっぱいに書籍。文具、絵、写真、フィギア、アールデコ風スタンドなど実に楽しそうな書斎。

 俳優・三國連太郎氏。2013年に90歳没。72歳頃の引っ越しで1500冊を処分。夕食後に2階の書斎に入ると鍵をかけた。同書に「休養に行く沼津別荘」とあるも、亡くなった時は「沼津の自宅で葬儀」と報じられていた。本のカバー写真は氏の書斎。

 仏文学者・出口裕弘氏。2015年に86歳没。37歳頃に調布市に膨大蔵書のために堅牢平屋を築。物置・押入れにも本が一杯。書棚別にテーマ分け。江戸関連、三島、太宰、安吾、澁澤、ボードレール、バタイユなど。背後書棚は趣味の息抜きの書。

 俳優・文学座代表の加藤武氏。2015年にサウナで倒れ86歳没。築地仲卸業の息子。早大卒後に新宿大久保中の教諭を経て文学座へ。43歳で家を建てた。奥様を亡くし、娘二人が家を出た居間を書斎した独居老人生活だった。

 作家・精神科医の北杜夫氏。2011年に84歳没。世田谷松原へ引っ越したら、そこは幼児期の場所。父・斉藤茂吉の蔵書20万冊は戦災焼失。2階の書斎は、家族に「触るな捨てるな」。夕食後に書斎に籠って朝まで執筆。

 評論家・渡辺昇一氏。2017年に心不全で86歳没。晩年は保守派論客。蔵書15万冊。古書収集家でもあり77歳で自宅とは別に蔵書保管・書斎(平屋で地下3階)を建築。個人書庫としては日本1とか。

 今は「男の書斎」テーマは時代錯誤で女性も頑張っている。「男の書斎」は怖い女房からの「避難部屋」。約半分が読書せぬ時代になって書斎は「趣味の部屋」へ。また書斎は持たないもスマホ・タブレット・PC内に各自「書斎」があるとも云えなくもなかろう。次は現70~90代の〝気になる方々の書斎〟についてのひと口メモ~。

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