Tipping Pointに至らぬ前に~(7) [異常気象と地球温暖化]
さて(6)で最近の新聞から各国の「異常気象と地球温暖化」対策、EUの「温室効果ガスゼロへ122兆円投資」計画、そしてこの機会に利を得んと動く国々も紹介した。
ここで再び「IPCC第5次報告」及び「パリ協定」を確認。参考は亀頭昭雄著『異常気象と地球温暖化』。2100年までに産業革命前からの気温平均2度上昇、または2度未満に抑えるべく、2050年(30年後)までに温室効果ガス排出量を2010年比の40~70%削減、または2100年まで排出量をゼロかマイナスにすべきの警告、協定が結ばれた。
二酸化炭素の累計総排出量と世界平均地上気温変化はほぼ比例で、2度上昇を抑えるには二酸化炭素累計総排出量を7900億トン以下に抑える必要があるらしい。「1970~2011年間の排出量が約5150億トン」。1年間の排出量が97億トン(2012年の例)×30年間=1910億トン。5150億トン+1910億トン=8060億トンで、目標の7900億トンを突破です。これを破って2度以上の上昇を許すと「ティッピング・ポイント(Tipping Point=それまで小さく変化してきたものが、突然に急激変化を始めるポイント。人の手に負えなくなるポイント)」を超えてしまう恐れあり。グレタさんの悲痛の叫びもそこにある。
では、何をしたら良いか? ジオエンジニアリング(地球工学・気象工学)の領域で「太陽放射管理」と「二酸化炭素除去」法あり。「太陽放射管理」は太陽エネルギー吸収を小さくする法で、それで地球温度上昇を止めても、大気中の二酸化炭素が増え続ければ意味もない。やはり策は「二酸化炭素除去」になる。これには「自然界の炭素吸収を増やす法」と「化学的方法」の2方法あり。
「自然界の炭素吸収増」には、植林~森林の二酸化炭素吸収の「グリーンカーボン」増と、鉄散布で海洋肥沃化(鉄分不足の海域に鉄分を足して)して植物プランクトン・海藻・海草の光合成による二酸化炭素吸収を海域で貯蓄する「ブルーカーボン」増の2法。第3は「バイオマスエネルギー利用(生物から生まれた資源=間伐材・家畜排泄物・食品廃棄物など)」。
そしていま最も注目が「化学的手段による二酸化炭素除去」。次回は最近の新聞から、その日本の取り組みを探ってみます。