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倉橋羊村「秋櫻子とその時代」 [読書・言葉備忘録]

syuousi_1.jpg 水原秋櫻子(明治25年~昭和56年)は、大正12年に高浜虚子「ホトトギス」に参加。虚子の「客観写生」が月並み化して行くのに異を覚え、昭和6年に「馬酔木」に「自然の真と文学上の真」を発表。

 著者は師・秋櫻子がその青年期に同時代の絵画(佐伯祐三)、小説(窪田空穂)をはじめ歌舞伎、寄席の芸人、夢中になった野球などのエッポクにどう反応してきたかを丹念に描き、彼の人間形成の軌跡を追っている。秋櫻子の実生活は大正3年に東大医学部卒。産婦人科教授から神田で代々続く産婦人科病院を経営。同書は秋櫻子が次第に虚子の言動、句の月並み化などにもがき苦しむ姿が描かれる。そこが本書の核心テーマで、著者は師の凛とした姿を描こうとしているが、読めば読むほどに俳句の集団性、結社のいやらしさがクローズアップ。「俳句の世界はいやだなぁ」と辟易してしまった。

 NHKテレビの俳句番組を時に観るが、その度に宗師と言われる方々の顔、風貌にげんなり。男の宗匠は概ね着物姿で、いかにも俳人ですって衒い顔。あの「句会ごっこ」もこそばゆい。昔の楠本憲吉ほどの顔・風貌なら宗匠でございとテレビに出てもいいのだが…。そんなワケで秋櫻子の人となりより、何となく感じていた「俳句の世界っていやだなぁ」を確認。そう言えば、あたしが最初に好きになった俳句は永井荷風の句で、荷風さんも句会や結社に関係なく俳句を楽しんでいたなぁと思ってホッとした。もう俳人の本は読まなくていいかぁ…。 ★これを記している間に、東京スカイツリーの真後ろに昇る朝日を撮り逃してしまった。オオマイゴット!


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