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北斎の悪玉踊り(1) [北斎・広重・江漢他]

akudama3_1.jpg 北斎関連書の表紙見返し(見開き)に「悪玉踊り」が載っていた。原書〈画)を見たくネット検索。「絵本・踊独稽古」(文化12年・1815、版元:鶴屋金助)がヒット。初編目次に「登里夜舟」「気やぼう寿どん」「悪玉おどり」「團十郎冷水売」が収録。北斎のゆかいな絵に入りたいが、まずは詞から。くずし字を少し勉強したので筆写・解読から参りたい(句読点や行替は小生。解読間違いはご了承下さい)。

チリチンチリチン とんび・からすにならるるならば、とんでゆきたやぬしのそば。チリチンチリチン トツツルテン ツテツン ツツツン チリチツツンチャン。チャンチャンチャン チリチツツン チリチリ チンツルチンツル ツンチリチンチリチン。

ぬしとふたりでくらすなら さけでくろふ(酒で苦労)もおきながし。チリチンチリチン トツツルテン ツテツンツツン チリチツツンチャン。

チャンチャンチャン チリチツツン チリチリチン ツルツルチンツル ツンチリチンチン。なべかまへっつい(鍋窯竈)チリチツツン どふこ(銅壺)やくハん(ヤカン)にすりばち(擂鉢)か ツルツルツン すりこぎ(擂粉木)か ついでにおやじも チゝチリチン チンチン。

そへぇ(添え)じゃいなぁあぁ アゝよいトコトントントン あゝアゝめったに(滅多に)でまかせ(出まかせ)あしまかせ(足まかせ)でん八和尚はくもをやみ(雲を闇)いさみちらして(勇み散らして)いそぎゆく(急ぎゆく)。続く

 「どふこ=銅壺、やくハん=やかん」の解読に難儀した。「めつた」の「め」がクセ字だが、後で「面を咥へ」と同じ字で「め」と判読。「めつた=滅多」も古語辞典にあり。なおこの詞は、清元の「うかれ坊主」の最後に同詞が遺っている。そこでは「でん八和尚」は「源八和尚」になっている。

 「悪魔おどり」のそもそもは、弊ブログでもおなじみ山東京伝の黄表紙「心学早染艸」収録。真面目な商人に息子が誕生。悪魂が入り込もうとするのを天帝が阻止し善魂を入れた。評判のいい息子に育ったが、18歳のうたたね中に悪魂が入り込んだ。吉原通い。やがて身を崩して追剥へ。道徳先生を襲ったら逆に説教されて善魂を取り戻すというお話。

 これが歌舞伎になって、悪魂キャラクターが躍るシーンが人気となり、江戸中に流行ったそうな。詞(うた)は〝戯れ歌〟だが、北斎の絵(漫画)がめっぽう面白い。


コメント(1) 

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ハッタリビー

興味深い資料のご提示にありがとうございます。
勉強させていただきました。
by ハッタリビー (2021-09-23 08:33) 

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