新宿の蝶にも負けぬルリビタキ [新宿御苑の野鳥]
新宿御苑の梅を観に行った時のこと。入苑と同時にシジュウガラ、ヤマガラ、エナガが飛び交う姿を見た。鳥撮りの方に話しかけたら「ルリビタキも出ていますよ」と、撮った紙焼きを下さった。「まぁ、素敵な写真。額に入れて飾りましょ」と、かかぁが言った。
ルリビタキ♂が出る現場では、ルリビタキの写真入り名刺を下さった方もいた。鳥撮りは好い方が多い。帰宅後に「新宿 ルリビタキ」でネット検索すれば、見覚えのある(自分の)写真が4、5カットあった。
「ルリビタキ彼方此方に舞ひ出でり」のタイトルで町田・薬師池、北本自然観察公園、そして新宿御苑で撮ったオス・メスの写真など。確かあたしが最初にルリビタキを撮ったのは富士五合目・奥庭で、その後はタイトル通り彼方此方で撮った。
新宿御苑でいただいたルリビタキの写真は、実に良いショットだった。いただいたお礼に、ここは描いてみようと思った。野鳥の絵は年初めに四苦八苦してスズメを描いたので、二度目の野鳥描き。今回も難儀するかなぁと思ったが、30分程で描けた。
初めて描く「花鳥」は手こずる。だが一度描けば次から筆が走るようになるらしい。ならば次々に未だ描いていないモチーフに挑戦です。絵を描き始めて丸1年も経っていないゆえ、隠居ながら〝初体験(モチーフ)〟は無限。
トモエガモ撮って区切りの鳥探し [新宿御苑の野鳥]
4年前のこと。未撮の「トモエガモ」(環境省レッドリスト)が綾瀬の公園にいると知った。行けば飛び立った直後だった。その後、見沼自然公園に居るとか。大宮からバスに乗って現地を訪ねた。三脚に長玉(望遠レンズ)の鳥撮りオジさんらがズラッと並んだ遠方のカモ群に一羽の「トモエガモ」。1時間ほど待つと陽の当たる近くに寄ってきて思う存分撮った。ライフリスト160種目で、あたしは間もなく鳥撮りを止めた。
それ以上は希少種、迷鳥、絶滅危惧種で生活のなかの〝季節の情景〟とは次元が異なる。「花鳥風月」の域を越え、珍鳥に眼の色を変えるマニアックな世界。撮れば自慢気に写真公開し、撮影ポイントは隠蔽。蒐集者の偏屈、満足、競争、嫉妬が渦巻く〝イヤらしい世界〟か。高じてくれば〝生活のなかの野鳥〟から〝珍鳥を撮るための生活(者)〟になる。鳥撮りもここらが潮時だろうと止めた。さらに撮影ポイントだった葛西臨海公園の河口辺り、手賀沼も放射能が蓄積されている。それら地で野鳥を撮って楽しいワケがない。その意では福島原発事故があたしの趣味も奪ったといっていいだろう。
今も鳥を撮るが、それは生活のなかの〝季節の情景〟〝花鳥風月〟を愉しむ範囲内。先日、読書に飽きて身体の按配も良く、久しぶりに新宿御苑へ鳥撮りウォークをしたくなった。一眼レフに望遠レンズを装着、片手に双眼鏡のかつての出で立ち。
最近の新宿御苑はかかぁと一緒で、まずは伊勢丹・地下でお弁当を購い、芝生でのんびりと昼食が定番。だが久々に鳥撮り体制で御苑内を歩けば、なにやら三脚に長玉セットのオジさんらが眼に付く。訊けば御苑に「トモエガモ」と「アカゲラ」が入っているとか。「アカゲラ」は探せなかったが、日陰で眠そうな「トモエガモ」を撮った。陽の当たる場所に移動するまで待っても良かったが、日陰で水面になじむ絵もよしとした。
帰宅後に自身のブログでかつて撮った「トモエガモ」写真を探したが見つからぬ。ブログ内検索をすればマイカテゴリー「おくのほそ道」にあった。芭蕉句「田一枚植て立去る柳かな」のもじり駄句「トモエガモ撮って立去る見沼かな」。野鳥よりも見知らぬ地を彷徨った愉しさが上回っていたのだろう。
水温みこれを最後か鶸いづこ [新宿御苑の野鳥]
向こうのカワラヒワにピントを合わせたら、手前のヒワが突如、翼を広げて鮮やかな黄色を見せてくれた。
ピンずれの写真を撮ってしまった場合は、よりよい写真を撮るべく現場通いをすればいいが、そこまでの気はない。「あぁ、この冬も新宿御苑のこの池にカワラヒワの群れが来たかぁ」と分かれば、それで充分なんです。
今までは氷が張ってい、僅かに溶けた所で水を呑んでいたが、水温む季節を迎えて、ヒワ(鶸)らは何処へ旅立って行くのだろう、と詠んだ。ムムッ、「水温む」と「鶸」で季重ね。しかも春と秋の季語。さぁ、どうする・どうする。 水温み池の鳥らも舞台替へ
春来る狂喜乱舞のメジロかな [新宿御苑の野鳥]
新宿のマンション七階ベランダに、ここ四年にわたってメジロが遊びにくる。三年前が一月十八日から、二年前が二月七日から、昨年が一月十日から、そして今年は一月九日だった。この日からメジロらは新宿御苑の寒桜が満開になる頃まで日々通ってくる。・・はずだったが、二日でパタッと来なくなった。隣のマンションが大規模修繕を始めたせいだろう。
それが三月に入って、一週間ほど通ってきた。ホットカーペットに寝転び読書の眼を上げると、窓ガラス際に「預かり犬」が日向ぼっこで寝てい、窓外ベランダのローズマリーに番のメジロが遊んでいる図が出現した。
3月15日、新宿御苑に行った。満開の大寒桜に例年通り十数羽のメジロが群れていた。この可愛いメジロを撮るのが、あたしの春の行事になっている。高速シャッターで連射すると、眼では確認できぬ意外な姿が写っていたりする。昨年は可愛い「懸垂するメジロ」で、今春はこんな写真が撮れた。この写真はちょっとハイキーに処理して「Windows8.1」のデスクトップ映像になっている。
渡り来て人に媚びたる冬の鳥 [新宿御苑の野鳥]
新宿御苑に例年通りキンクロハジロの群れが渡ってきた。年々個体数が減っているようだ。シベリアやユーラシア大陸北部で繁殖し、越冬のために飛来する。繁殖はおそらく原初的大自然の中で営まれようが、日本飛来と同時に、餌を求め人に寄ってくる。人は哀しい習性を教えてしまったようで、なんともやりきれぬ。かくいうあたしも、そんな姿を撮ってよろこんで?でいる。
ちょっと落ち込んだが、考えてみればこの池のキンクロハジロは江戸時代の高遠藩(たかとおはん:現・長野県伊那市高遠町)の内藤家江戸下屋敷「玉藻池」時代から人に餌を貰うDNAを受け継いでいるのかもしれぬ。そう思えば多少のロマンも甦る。
家のベランダでは、内藤家の菜園から広がったといわれる江戸野菜「内藤唐辛子」の二度目の実がたわわだが、時期が遅かったか、なかなか赤くならず緑のまま。いつ始末しようか迷っている。
カラハラと枯葉落としの鳥が舞ひ [新宿御苑の野鳥]
コンビニのセルフ式ドリップコーヒーが人気らしい。歳を取るってぇと、初めての事は億劫で躊躇するが、コーヒー好きゆえに近所のセブンイレブンのコーヒーを購った。
レジで「コーヒー」「小、大?」「大」「150円です」。お金を払うと大カップをくれる。コーヒーマシーンにカップを置き、「L」ボタンを押す。しばし待つ。抽出2度でLカップがいっぱいになる。マシーン横に蓋、スプーン、砂糖、ミルクなど。
「おいしいですよ」と店長。「味がわかるのかぇ」。「いえ、僕の意見ではなく、皆様がそうおっしゃっています」。うむ、こりゃ人気が出るのも納得なり。名は「SEVEN CAFÉ(セブンカフェ)」とか。我がマンション裏斜めの至近「セブンイレブン」ゆえ持ち帰りが習慣になる。
「柄長匙(スプーン)」でコーヒーをひと掻きし、パソコン・モニターを見る。先日撮った黄葉の木々の間を忙しく飛び交う柄長(エナガ)写真。コーヒー飲みつつ、この写真で一句と思ったが、すでにエナガで五句もアップ済ゆえに鳥名を避けた。枯葉が落ちれば冬木立です。街はクリスマスのイルミネーションの時期。
盛り場の池も絵とするマガモかな [新宿御苑の野鳥]
「おまいさん、机に向かってばかりだと足腰が萎えちまうよぅ。新宿御苑を歩いてきたら…」ってんで、久し振りにカメラ持参で苑内を歩いた。早くもオシドリ、マガモが入っていた。
味けなかった御苑の池に、マガモらが泳ぎ回って、俄かに「秋の絵」となった。日を追ってカルガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロなど水鳥の群れも飛来しよう。紅葉も色づきだそう。そして紅葉が落ちれば野鳥のエナガ、シジュウガラ、メジロの混生群が賑やかな移動を見せ、シメ、アトリ、アオジ、ヤマガラ、コゲラ、ツグミ、シロハラ、ウソらの冬鳥も賑わおう。これからが愉しい季節です。
行秋やブルーシャドーの鴨が舞ひ [新宿御苑の野鳥]
「オジさん、あのカモ、他と違ってブルーシャドーのメイクじゃん。チョーかわいい。あれ、撮りなよ」。
歌舞伎町か二丁目で夜通し遊んだか、化粧崩れのギャルに言われて「カルガモ」を撮った。頭部がグリーンっぽいマガモとの「交雑個体」はまま見るも、鮮やかなブルーは珍しい。
「オジさん、鳥なんか撮って愉しいん」 「あぁ、いま皇居のお濠も、御苑の池にも冬鳥がどっと入ってきた。鳥を撮るってぇのは季節巡りの確認かな」 「ははっ、そこには、あと何年生きられるかっちゅう気持ちがある」 「まぁ、そんなとこさ。いろんな遊びをいっぱいやって、夢もいっぱいみて、飽きるほど生きて・・・」 「今は巡る季節の愛しさよ」 「そんなとこだ」 「ふぅ~ん、あたしはまだ遊び始めたばっかり。あれもこれもしたい・・」 「あぁ、飽きるほど遊んだらいいさ」と言った。
ビックロも色褪せるるや翡翠鳥 [新宿御苑の野鳥]
若い時分から本は紀伊国屋書店だった。新宿三越に「ジュンク堂書店」が入って同店びいきになった。その三越全館が突然「ビックロ」になった。
「売らんかな」臭プンプンのヤマダ電機「LABI」っつぅ店はどうも好かん。カメラや家電はいつの間に新宿西口「ビッグカメラ」に決まった。地下の魚売り場もお気に入り。ユニクロはフリースが流行った10年ほど前に、ウチから数分のところに開店し、買い食いならぬ“買い着”感覚で重宝している。
「ビックロ」開店日にウォーキングの足が同店に向かった。トレパンとCD-Rを買った。一ヶ月後、街はいきなり冬の陽気でネオンが恋しくなった。
盛り場から数分の新宿御苑へ。ユニクロを着て、ビッグカメラで購ったカメラをもってカワセミを撮った。
街のネオンや流行り物に比し、カワセミの美しいことよ。この日、カワセミ♂が各池を低空飛行で矢のように飛び交っていた。
二分咲きの桜に気早メジロ舞ひ [新宿御苑の野鳥]
3月3日の御苑散歩。二分咲きの寒桜に、早くもメジロが蜜を求めていた。「メジロもせっかち、撮るあんたもせっかち」とかかぁが笑った。
<せっかちね桜のメジロ撮るあんた> おぅ、よく言うぢゃねぇか。 <二分咲きの桜に気早(きばや)メジロ舞ひ>
カワセミの電光石火狙いどり [新宿御苑の野鳥]
2月初旬のこと。新宿御苑では彼方此方の池が凍って、この池の一画だけが凍らなかった。そこがカワセミのダイブ(餌獲り)ポイントになった。カワセミ撮りが並んでいたので、あたしも防寒ズボン、携帯椅子、一脚持参で並んだ。
ダイブポイントにマニュアルフォーカスで「置きピン」。片眼でカワセミ、片眼でファインダーを見る体制でダイブする度に連写。水に突っ込む瞬間も、水から飛び立つシーン(写真)も撮れた。あとは背景、タイミング次第。数撮れば良い写真も撮れそうだが、「カワセミ専科」ではないので、そこそこで引き揚げた。
後日、同ポイントに行けばカワセミを追い散らす人がいたり、池が汚れたりして、カワセミは同ポイントから去った。「おくのほそ道」シリーズで<カワセミや石より白き糞の上>と詠んだが、もう一度・・・。<カワセミの電光石火狙いどり>。カワセミが小魚を「狙い獲り」と、「置きピン」で「狙い撮り」の両意。
新宿御苑は、あと1週間もすれば「寒桜にメジロ集合」の春の風物詩が愉しめる。
セシウムに蛤逃げて雀かな [新宿御苑の野鳥]
俳句の季語には妙なのがある。「雀蛤となる(すずめはまぐりとなる)」。「蛤」の季が春で、「雀」の季が四季だが、この季語は秋。旧暦九月節の第二候(十月十二日頃)に雀が蛤になるという可笑しな話があるそうで、それが季語になったとか。雀の薄茶色の感じが蛤に似ているからか? だが十音の季語ゆえ句にならぬ。俳人らは面白がって「蛤」と「雀」を組み合わせた句を詠んでいる。ちなみに一茶は<蛤になつてもまけな江戸雀>。 あたしも遊んでみよう。
今、東京湾に注ぐ河口の砂泥にセシウムが蓄積されつつあって、「浜の栗」こと「ハマグリ」がこれを嫌って、季語通り「雀」に化身して逃げ出した。季語「雀蛤となる」は、今日の日本の原子力行政の愚かな結果を先見していたのかもしれぬ。<セシウムに蛤逃げて雀かな>
佇みて音姿知るコゲラかな [新宿御苑の野鳥]
コゲラ=小啄木鳥=ジャパニーズ・ピグミー・ウッドペッカー。雀より1㌢大きいに過ぎぬ小さな啄木鳥。
コゲラ探しは、おしゃべりを止め、足音を忍ばせつつ木々の下で耳を澄ませる。そして木々の些細な動きを注視。・・・やがて木を叩くコツコツという微かな音が聴こえてくる。木の幹をまわり込みつつ忙しく採餌する姿も見えてくる。そうしてコゲラを見ていると、「寂」を愉しむ妙なる感覚が生まれる。
微かな音を聴き込む受動・静の意識と、微細な動きを逃さぬ細心の注視・能との妙なるバランス。これがあって初めてコゲラ観察・堪能に至る。逆に言えば、コゲラを見つめている時は、この得難い妙なる域を愉しんでいるワケだから、「何がいるんですかぁ~」などと無粋に話し掛けてはいけません。<佇みて音姿(おとすがた)知るコゲラかな>
山雀や秘めた実出して春を待ち [新宿御苑の野鳥]
過日、カワセミのダイブを見ていたら、そこに二羽のヤマガラが水を呑みにきた。「おや、今年の新宿御苑にはヤマガラ(山雀、シジュウカラ科)が多いのかしら」。
そう思っていた昨日のこと。忙しそうなヤマガラを見ていたら、切株の下から、小さな木の実を引っ張り出した(写真下)。別の場所では、大きな木の樹皮の間から茶色の実を引っ張り出すシーン(写真上)を見た。ヤマガラは昆虫、クモ、果実を食うそうだが、冬季は木の実が多い。その実を樹皮の穴などに蓄える習性があって、これを「貯食」と云うそうな。
鳥好きの老人らが屯する場では、概ねヤマガラは餌付けされている。新宿御苑ではそんな光景がないから、自然な生態を見ることが出来たのかもしれない。春の繁殖期には新宿御苑を去って行くのだろうか。
冬紅葉飛び入る鳥の頬を染め [新宿御苑の野鳥]
3年前の御苑にエナガは居なかったように思うが、今秋~冬は群れエナガをよく見る。スズメより多かったりして・・・。大増殖しているに違いない。
その日は「母と子の森」の紅葉した木々から、池の枯れ蒲(写真下)へ、そしてモミジの中へ移動。
小さなおちょぼ口で微細昆虫を採餌ゆえ、常に忙しく動きまわりつつ移動。まさに師走の象徴みたいな鳥だ。撮るも一瞬。カメラのフォーカス機能が試される。そんな忙しいエナガの移動を、何もすることのない隠居夫婦が追い、撮っている。この戯れに「何がいるんですか」と人が問うも、一瞬にエナガの姿はない。大つごもりに向かって忙しさ増す新宿で、のんびりとエナガを追うも、この季節の風流・・・。
星羽白プリミティブ秘め新宿へ [新宿御苑の野鳥]
二丁目の嬌声近し翡翠かな [新宿御苑の野鳥]
気忙しく綺麗な鳥の腰を振り [新宿御苑の野鳥]
一昨日のこと。鳥撮りにと思ったが億劫が勝った。己の過ぎし年の11月ブログをひも解けば、胸躍らせて見知らぬ近郊に鳥撮りに出かけていた。あぁ、老いても日々そんな意欲と好奇心で生きたいもんじゃ・・・と反省。せめて新宿御苑・開園時間に入ってみようと思い立った。
鳥撮りにも釣りで云う「朝マズメ・夕マズメ」あり。鳥が採餌活動に活発な時間帯。その時間帯を逃すと、鳥に出逢える頻度が低下する。
かく反省し、久し振りに9時開園の一番のり。やはり居た、出逢いました。まずは池対岸縁を腰を振り振りキセキレイ。ブログ始めの3年前11月、初めて御苑でキセキレイを撮り「おぉ、新宿にもいたかぁ」とちょっと興奮した。こっちが怠けていただけで、鳥たちはその時期その場所にちゃんといたんですねぇ。このキセキレイ、御苑を越冬地に選んだのなら春まで愉しませてくれそう。
この時期にあの川へ行けばセグロセキレイが川底に顔を突っ込んで採餌中で、下流の調整池では赤い実をたわわに実らせたピラカンサにカワセミが来て、さらに三脚ズラリッ並んだカワセミ・ポイントもあり・・・。まぁ、いいかぁ。新宿在住は新宿の野鳥を撮りましょ。<気忙(キセ)わしく綺麗(キレイ)な鳥の腰を振り> 「キセキレイ」を隠し言葉に詠んだ。
少子化のはぐれ雀や吹溜まり [新宿御苑の野鳥]
子らが去り釣瓶落としの御苑かな [新宿御苑の野鳥]
せっかちのキンクロハジロ3羽哉 [新宿御苑の野鳥]
秋立つやエナガの赤や葡萄色 [新宿御苑の野鳥]
新宿へ一番乗りか秋の鴛 [新宿御苑の野鳥]
ジョウビタキ旅立ち送る花は未だ [新宿御苑の野鳥]
萩野貞樹「旧かなを親しむ」を読んでいたら、荷風さんの書翰が紹介されて、読者も「候文」を書いてみましょう・・・とあった。早速、新宿御苑のジョウビタキで練習。
拝呈 陳者(のぶれば=書き出しの決まり文句。さてもうしあげますの意)御手紙拝見致候。御変もなく益(一字でますます)御清祥の段欣慶の至りに奉存候(ぞんじたてまつりそうらふ)。当方皆々無事に候間(さうらふあひだ=でありますから)御安心被下度候(くだされたくさうらふ)。兼てより当方の庭と勝手に称せし新宿御苑の野鳥につき質問被下候も春寒き日々候にて尉鶲(ジョウビタキ)の旅立ちを送る染井吉野の蕾も未だ固いままで候。いづこも人心おちつかず、行末の事も何となく悲観致され候折ながら日々暖かく成るは確かなことに候へば数週間の内には冬鳥のすべても旅立ちにて候。皆様も芽出度御迎春遊ばされ候やう願奉候(ねがひたてまつりさうらふ)。先ずは御返事申上候。怱々頓首(そうそうとんしゅ)。
エナガらの都市進出のせはしさや [新宿御苑の野鳥]
今年はにわかにエナガを撮る機会が増えた。写真は地震のあった3月11日の撮影。「ジュリジュリ・・・」の鳴き声に眼をこらせば、地表近くの松に群れていた。エナガが増えている。ネット調べをすれば今年1月の「日本野鳥の会・東京/研究部ブログ」にこんな記述があった。
森林性のエナガだが、80年代から小金井市や府中などの平地緑地に定着するようになった。21世紀になると都内でも姿をみせ、繁殖するようになった。昨年から明治神宮、目黒の自然教育園など都心部にも進出。
そんな変化を知る由もない隠居鳥撮りのあたしは、2月2日ブログに「御苑で繁殖か・・・」と記した。素人勘が当たっていたってことだ。新宿・大久保のマンション前の街路樹にコゲラがいた。7階ベランダにメジロが遊びに来る。先日はジョウビタキが止まってい、オナガの群れがスゥーと飛んた。眼前の戸山公園にはヒレンジャクも来た。「おまいさん、鳥撮りに遠くに行くこたぁないんだよ。ここらで充分じゃないか」とかかぁが言う。「おめぇ、そうは言っても近所で双眼鏡と望遠レンズ持ってうろついていたら怪しまれるじゃねぇか」「ははっ、そんな顔をしている」
蜜を吸ひ吸はるる春の御苑かな [新宿御苑の野鳥]
今日は震災から10日目。春分の日。11日昼は新宿御苑散歩で「梅にメジロ」を撮った。帰宅直後に大地震。ちょっと時間がずれたらエレベーターに閉じ込められていただろう。アンティーク食器が入った飾り棚を押さえていたら、その奥の自室の本棚から本がバンバンと落下。ややして7Fから脱出して通りに出れば、多くの人々が広場に避難していた。信じられぬ大津波の悲惨な映像が流されていた。何事もなかったように海鳥が舞っていた。
18日。閑散とした御苑で「寒桜にヒヨドリ」を撮った。鳥媒花。こんなに長閑な春なのに、まだまだ冬の寒さが続く被災地。近所の体育館(新宿コズミックスポーツセンター)も明日から避難所になると報じていた。
池田俊二著「日本語を知らない俳人たち」を読書中。有名・著名俳人や新聞の選者たちが、いかに多くの文語間違いをしているかを指摘の書。「吸ひ吸はるる」は間違っていないだろうか・・・。手元に文語文法の本が数冊あるが、この歳での文法勉強は頭に入らぬ、残らぬ。
白雀見守る女(ひと)の長閑なり [新宿御苑の野鳥]
自宅7F東窓に戸山公園が広がっている。先日、ここで鳥撮りの方々とお逢いした。「ここに野鳥がいますか」と訊けば、「この冬にツグミがドッと入った時に、ヒレンジャクの群れも入った」。
コリアンタウン新大久保と早稲田の間の小さな公園にヒレンジャクとは・・・恐れ入谷の鬼子母神。(17日から昔の交通公園で「戸山公園の野鳥・野外写真展」が行われてい、見事なヒレンジャク写真があった)。その時に新宿御苑の「白い雀」も教えていただいた。
先日のポカポカ陽気に御苑散歩をすれば、教えられたところに白雀がいた。すでに一年前からいるとか。白雀ファンや売店のおばさんらが温かく見守っているようす。あれほど御苑通いをしながら気付かなかった白雀。ヒレンジャクだって遥か埼玉・秋ヶ瀬まで行って撮ったが、目の前の公園にいたとは灯台下暗し。※伊藤若沖「秋塘群雀図」に、群れのなかに一羽の白雀が描かれている。
寒桜爛漫に湧くメジロかな [新宿御苑の野鳥]
先日、葛西から松戸をまわって珍鳥3種を撮ったが、スタンスは「暮しの中の鳥」撮り。健康ウォークも兼て、昨日もご近所・新宿御苑に行った。寒桜満開で数十羽ものメジロが夢中で蜜を吸っていた。我が7階ベランダに遊び来るメジロらが姿を消したが、ここに集合したのかしらと思うほどの数・・・。
寒桜とメジロを囲むカメラマン。毎年のように、この「春近し」の光景を愉しんできた。見ていると「あのぅ、ルリビタキは何処にいますか」と二人のご婦人。「居ることは居るが、ここは餌付けじゃないから撮れるとは限りませんよ。明治神宮に行ったら餌付けされているから・・・」と応えてみた。今や珍鳥や美しい鳥は何処に行っても餌付けになってしまった(ゆえにあたしにも撮れる)が、この寒桜に湧くようにメジロが集まってくるのは自然の光景。もう春でございますよ。<寒桜爛漫に湧くメジロかな>
おちょぼ口なにを啄む柄長鳥 [新宿御苑の野鳥]
新宿御苑でも鳥撮りに…と思えば気合を入れて開門直後に行くが、ウォーキング目的ではのんびりと昼下がり。そんな時に出逢えるのは、せいぜい水鳥やカラスくらいだが、エナガだけは休みなく小枝を飛び交って餌を啄んでいる。何を食べているのだろう。野鳥図鑑をひもとけば「小さな昆虫やクモ、特にアブラムシを好み、草の種子も食べる」とあった。エナガは柄のような長い尾を除けば、キクイタダキ級の小さな鳥。とは言えアブラムシなど幾ら食へども腹は満たされぬだろう。ゆえに始終ちょこまかと餌探しか…。
エナガの季語は秋。晩秋当初は高い枝が多かったが、今時分になると目線の枝でも平気で飛び交っている。シジュウカラ、コゲラと共に新宿御苑の定番野鳥と言っていいかも。さて、御苑で繁殖しているのか、近郊の山野に戻って繁殖か。朱い瞼の幼鳥を撮ったこともあるが何処でだったろう…。
シロハラや我と遊ぶか隠れんぼ [新宿御苑の野鳥]
今どき、野鳥と遊んでいると鳥インフルエンザに怯える養鶏業者に申し訳ない気がする。シロハラも中国東北部やロシア沿海部からの渡り鳥。今季、すでに彼方此方で撮っているも、これといった面白い写真を撮れず。
この絵は新宿御苑。この寒さに散策する方も少なく、静かな林ん中を歩いていると「カサカサ・カサカサ…」とシロハラが枯葉をひっくり返している音に気付く。音の方にそっと近づけば、音がピタッと止まる。離れるとまた「カサカサ…」。誰もいない枯葉の小路で、しばしシロハラと「隠れんぼ」。「見ぃ~つけたぁ」とシャッターを切れば、またツツッーと数メートル先に逃げた。どこまで「追いかけっこ」を続けましょうか。
最近の新宿御苑にも長玉を持った鳥撮りが多くなってきた。だがここには珍鳥などいませんよ。普通の野鳥とこんな遊びがせいぜい。一昨年でしたか、シロハラとそうやって遊んでいたら、いつの間にか相手が「トラツグミ」になっていたことがあった。