セシウムに蛤逃げて雀かな [新宿御苑の野鳥]
俳句の季語には妙なのがある。「雀蛤となる(すずめはまぐりとなる)」。「蛤」の季が春で、「雀」の季が四季だが、この季語は秋。旧暦九月節の第二候(十月十二日頃)に雀が蛤になるという可笑しな話があるそうで、それが季語になったとか。雀の薄茶色の感じが蛤に似ているからか? だが十音の季語ゆえ句にならぬ。俳人らは面白がって「蛤」と「雀」を組み合わせた句を詠んでいる。ちなみに一茶は<蛤になつてもまけな江戸雀>。 あたしも遊んでみよう。
今、東京湾に注ぐ河口の砂泥にセシウムが蓄積されつつあって、「浜の栗」こと「ハマグリ」がこれを嫌って、季語通り「雀」に化身して逃げ出した。季語「雀蛤となる」は、今日の日本の原子力行政の愚かな結果を先見していたのかもしれぬ。<セシウムに蛤逃げて雀かな>
2012-02-24 04:59
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