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春近し朱唇を割つてぽっと咲き [読書・言葉備忘録]

koubai4_1.jpg 昨日は待ち人来ず、待ちメールも来ず。待っているのも阿呆らしくなって近所の戸山公園を散策した。紅梅が咲きだしていた。<春近し朱唇を割ってぽっと咲き>

 戸山公園でも写真でもなく「朱唇(しゅしん)」がらみの読書備忘録。田辺聖子「ひねくれ一茶」読書中だが、まぁ、舐めるように読んでいるから、なかなか進まない。長編の中ほどに、旦那俳人らが柳橋の隠れ料亭に北斎を招いた席に田舎者・一茶もよばれる場面あり。文庫で20頁たらずだが、一茶は芸者遊びや贅を凝らした食膳に眼を白黒する。そこにちりばめられた「素敵な言葉」たち。…団栗眼、温気、朱唇、桃尻、面輪、些ったあ、薙髪、飄逸、夏景、尤物、口疾にいう、挙措、賞翫、布子、紙子、杓子の当たり、娥々たる紅顔、四時の眺望、法楽、暢達、面ざし、無風流、芋助、傲岸、髻、小鬢、美禄…。思わずメモをとって、あたしも遣ってみたい言葉だなぁと思った次第。かくして「朱唇」を遣った句が出来た。

 一茶は息を吸う、吐くように句を作ったとか。田辺聖子も文庫見開きに七つ八つと一茶句を挿入しながら長編を書き進む。まさに句読点を打ちつつ一茶句を挿入で、「これはまぁ、なんと素敵な小説じゃないか」と感心しつつ読んでいる。吉川英治文学賞・受賞作。田辺文学の金字塔。なんか変なおばさんだなぁと思っていたが、今春は田辺聖子にはまりそうです。


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