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師走来て鳥飛び魚へパンの屑 [おくのほそ道]

kinkuro1_1.jpg 時は元禄二年三月下旬。芭蕉は深川から舟で隅田川を遡って千住に上陸した。江戸から最初の宿場。吉原遊女の投げ込み寺・浄閑寺がある。芭蕉はここで六日滞在し、第2句を詠んだ。<行春や鳥啼き魚の目に泪>

 これから前途三千里の旅立ちが始まる。大江戸の安穏とした暮しに後ろ髪がひかれるも、「行春」に「離別」を重ね、鳥も啼き魚の目も泪で濡れているようだ・・・と詠った。嵐山光三郎は「芭蕉の誘惑」で「魚の目に泪」は泳いでいる魚の目に泪は不自然ゆえ、賑わう千住の町の魚屋で魚の目が泪を流したように濡れていたのだろうと書いている。

 「行春や」は、刻々と移り過ぎてゆく春。「不易流行」。「おくのほそ道」最後の句<蛤のふたみに別れ行く秋ぞ>と対を成す句。共に旅が終わって数年後に作られた句らしい。端から虚構である。さて、「行春や」だが今は「師走」。これに鳥と魚の組み合わせて <師走来て鳥飛び魚へパンの屑>と詠んだ。師走は人々が忙しいが老人は閑でしょうがねぇ。公園の池へ行くってぇと、そんな老人の一人や二人が必ず渡鳥や鯉にパン屑を与えている。写真は採茶庵の隣の清澄公園に北国から越冬にきたキンクロハジロ。老人が投げるパン屑に飛んできた。


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