SSブログ

てえへんだ八丁堀に火が移り [くずし字入門]

kandakaji2_1.jpg「かわら版/甲午の火事」(天保五年)の続き。この筆写は地名列挙で馴染みない漢字の“くずし字”と、江戸府内地理のお勉強。文はこう続く。「松島町御屋敷方又壱口ハ茅場町北八丁堀亀しま町飛火致し本八丁堀南八丁堀霊岸島不残佃島飛火鉄砲洲御屋敷方舟松町弐丁目焼留」。

 

 火は北へ飛び「松島町」ってことは水天宮辺りに広がった。南は日本橋川を越えて「茅場町」へ、さらに南下して「八丁堀」へ拡大。ここで「江戸切絵図」を見れば、亀島町辺りから現・八丁堀辺りまでが与力町と同心町が交互に並ぶ「町御組屋敷」。某時代小説を読んでいたら、八丁堀に盗賊の根城があって捕物シーンあり。そりゃないでしょと、江戸地図を知れば時代小説の誤りにも気づく。さて、この火事で茅場町と組屋敷も焼失したか。

 

火は波状拡大する。亀島川を越えて霊岸島へ、隅田川を超えて佃島、鉄砲洲へと広がる。まさに激しい西北風。ここで焼け止まるワケもない。「又一口日本橋向青物町しんば近辺通壱残る同弐三四かたわら中ばしおが丁むし町焼留る又壱口は横山町両国近辺不残浜町御屋敷方新大橋半分焼落」。

 

火の手は次に日本橋川を越えて青物町が燃え、八重洲方面へ。別の火の手は柳橋の南の横山町から隅田川に沿って浜町まで燃えて「新大橋」に迫る。江戸城の東側一帯が焼けていることがわかる。かわら版が摺り上がった後で、飛び火はまだ続き、欄外に九日、十日の延焼が書かれていた。(続く)


コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。