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湾岸8)レインボーブリッジを歩く [新宿発ポタリング]

loop_1.jpg 台場に行ったのは18年前の二度だけ。改めて「ゆりかもめ」に乗り、「レインボーブリッジ」を歩いてみた。振り返れば平成3年に伊豆大島にロッジを建て、当初は毎週のように通ってい、船ならレインボーブリッジ下を通過し、飛行機なら羽田「YS-11」か調布発「アイランダー機(セスナ風の11人乗り)」上空から湾岸の開発を見てきた。「レインボーブリッジ」開通前のこと。

 「おめぇ、ちょっと臨海副都心へ散歩に行ってくらぁ」とかかぁに言えば「あらぁ、〝海向こう〟まで行くのかえ」。あたしらの両親は大川(隅田川)の向こうを〝川向こう〟と言い、それをもじっての〝海向こう〟らしい。「臨海副都心」とは「晴海・豊洲」と「ゴミの島々」に抱かれた「台場・青海・有明北・有明南」地区のことらしい。

dairokudaiba_1.jpg 今回の湾岸行は電車利用。自宅近くの大江戸線「東新宿」から「汐留」へ。無人自動運転「ゆりかもめ」へ乗り換えて「芝浦ふ頭」駅。徒歩5分で「レインボーブリッジ」西詰。自宅から約50分。「おやっ」ここは昨秋に自転車で来た所じゃないか。ここに橋歩道へのエレベーターがあったとは知らなかった。入口には自転車を押し歩くための〝後輪固定台〟あり。南側と北側の歩道が選べてサウスコースを歩いた。歩道は「ゆりかもめ+車」疾駆脇で絶えず小刻みに揺れているも絶景なり。橋の揺れと絶景で胸はドキドキ・ワクワク。

 しばらく歩いて振り返ればループ状の橋詰、芝浦埠頭、大井埠頭を俯瞰。橋の真ん中辺りで眼下に「第六台場」。続いて「第三台場」が見えてきた。この「台場」の企画・設計・大砲製作は江川坦庵が担当。嘉永6年(1853)のペルー艦隊が去った8月21日のニケ月後に起工で、八ヶ月後の安政元年(1854)4月に竣工。品川御殿山下の砲台と五・六番台場は同年1月起工で11月に竣工。幕府が慌てて泥縄的に築造。当初は12基計画も、資金難で完成は6基だけ。土は御殿山、泉岳寺境内、高輪や品川方面の諸侯邸宅の高地を崩したとか。そして今は第三・第六台場だけ遺されている。砲台威力はどれほどだったか。仲田正之「江川坦庵」に門弟が試射会で十町(約1㎞)沖の的を粉砕~との記述あり。

daisandaiba_1.jpg 1.7㎞で約30分行程の「レインボーブリッジ」歩道を下りれば、第三台場へ続く堤防あり。そこにひっそりと石碑がひとつ。回り込むと以下文言が刻まれていた。「東京は関東大震災及び第二次世界大戦末期の空襲により甚大なる被害を被った。二度の被災により隅田川河口近くに位置したここ旧防波堤にも、漂着した犠牲者が数多くみられたという~」。以下省略すると、その諸霊を長年供養してきたが、お台場海浜公園が再整備されるのを最後の供養とし、以後は都の慰霊に引き継ぐ~という内容。

 「第三台場」へ上陸。石垣と土塁で囲まれた台場。凹部には休憩所跡の土台、カマド、石垣で囲まれた火薬庫、土塁上に砲台などあり。台場波止場近くに細長い碑あり。大正15年に史蹟指定され、昭和2年に史蹟碑建立と刻まれていた。その時に休憩所、カマド、砲台がつくられたのだろう。これらは史的考証に基づかぬもので撤去し、正しく復元すべしの声あり。また淺川道夫著『お台場』では、「第六台場」も遺構の崩壊と汚染をそのままにせず管理すべしと指摘していた。ここは東京都港湾局・臨界開発部・海上公園課の担当だろうか。

daisandaiba1_1.jpg 東京都港湾振興協会・東京みなと館のサイト「東京湾アーカイブ」を拝見すると、昭和31年の航空写真には第三台場は海にポツンとあるだけ。昭和39年の航空写真では埋立が始まっていた。台場と埋立の間=現・台場の海は「台場貯木場」で、同サイトには「原木の水おろし作業」の写真も紹介されていた。

 台場・青海・有明は、主に高度成長期の公共工事で発生した土などで埋立てられたとか。同地区が「臨海副都心」として整備されるのは平成に入ってからだろう。ゆりかもめ開通が平成7年で、フジテレビ移転や複合商業施設、高層住宅、小・中学が出来たのは翌8年。

 埋立地「湾岸副都心」には歴史的由緒のない街と思っていたが、「幕末のお台場」と「大震災・大空襲の御霊」と意外な史実を踏まえた街と認識した。追記:芝浦アイランド~お台場海浜公園~豊洲ららぽーとを結ぶアーバンランチ(Urban Launch)なるおしゃれな渡船(600円)もあって、ペットや自転車(300円追加)も乗船可。約1時間毎に出航している。


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