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鶉衣16:煙草説‐江戸情緒たっぷり [鶉衣・方丈記他]

kiserue_1.jpg やごとなき(やむごとなし=捨ててはおけぬ、別格な)座敷に、綟子張(もぢばり=麻糸をもじって荒く織った布=綟織を張って漆を塗ったもの)の煙草盆をあたま数に引きわたしたるより(人数分の煙草盆を渡されるより)、路次(露地)の待合に吸口包みたるは(煙管の吸口を袖口で包み拭くのは)、にくからぬ風流なれど、さすがに辞儀合(じきあい=挨拶などを交わす)に手間も取るべし、只木がらしの松陰に駕立てて、継ぎせる(繋ぎ合せて用いる携帯用煙管)取りまはせば、茶屋の嬶(かか)のさし心得て、鮑がら(鮑の殻)に藁火もりてさし出したる、一瓠千金(いっこせんきん)のたとへも此時をいふにや。また雲雀など空のどかに、行先の渡場とひながら、畑打(はたうち)のきせるにがん首さしあわせて(煙管の雁首を交わし合って火をもらう)一ぷく吸付けたる心こそ、漂母(へうぼ、ひょうぼ=洗濯する老婆)が飯の情よりうれしさはまさらめ。

tabako2_1.jpg 煙管の江戸情緒が眼に浮かぶようです。「綟張」「畑打」「辞儀合」「漂母」「鮑殻」などすべて「広辞苑」に載っている。「一瓠千金」はネット検索で「千金一瓠」があった。「瓠=カク、コ、ひさご、ふくべ、ひょうたん。瓢箪で作った容器」。船が沈した時にはコレが千金の値になる意らしい。転じてつまらない物でも役に立つ。文脈から「何でもないことのようだが、素晴らしいことだ」と訳すのがいいか。

 絵は煙管(キセル)。左から「火皿」、雁首並べて待っていろの「雁首」「羅宇」「吸口」。徳川宗春は吉宗にさからって、派手な衣装で長さ二間の長煙管をくゆらせたとか。本当かいなぁ。


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