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池鯉鮒「春風に池の水のとけそめて~」 [狂歌入東海道]

40tiryu_1.jpg 第四十作目は「池鯉鮒(知立・ちりふ・ちりゅう)」。狂歌は「春風に池の水のとけそめて刎出(はねで)る鯉や鮒の花なる」。まぁ、珍しい地名だこと。古代より知立神社があって「知立」だったが、同神社は低地で池が多くて鯉や鮒の産地。旅人に旨い魚を提供したいと「池鯉鮒」になったとか。

 弥次さんは草鞋で足を痛めたので、この宿で草履を買っただけで同宿を打ち過ぎた。池鯉鮒宿の記述がないので、俳句双頭の句を紹介する。

 知立神社参道に芭蕉句碑あり。「不断たつ池鯉鮒の宿の木綿糸」。〝不断たつ=絶え間なく続き立つ〟だろうか。池鯉鮒は木綿も名物。一茶は「はつ雪やちりふの市の銭叺(ぜにかます)」。銭叺=蒲で編んだ銭入れ。

40tiryuuta_1.jpg この絵は、池鯉鮒宿の入口の茶屋前で人々が大名行列に平伏していると思ったが、よく見れば「八朔御馬献上」を迎えている様子が描かれている。保永堂版「藤川」で描かれた〝八朔御馬献上〟図は、司馬江漢「藤川」と内容・構図そっくりの図だったが、この絵はリアリティがあって、広重はやはり〝八朔御馬献上〟に幕府から派遣されたのではないかと思った。

 一方、保永堂版「池鯉鮒」は「首夏馬市」。知立松並木沿いで毎年四月二十五日~五月五日に開催される馬市(五百頭規模)が描かれていた。現在は「馬市の跡」の石碑が建っているそうな。

 同宿を出て「今岡村」立場へ。ここは芋川饂飩(うどん)が名物。「名物のしるしなりけり往来の客をもつなぐいも川の蕎麦」。

 さらに阿野、坂部、落合村を経て有松村へ。ここは絞りが名物。各染屋ごとに〝絞り〟を飾り立てての商い。「名物・有松絞り、さぁさぁお入りなさい」とうるさいほどの客引きに辟易して一首。

 「ほしいもの有まつ染よ人の身のあぶらしぼりし金にかへても」。弥次さんは浴衣を買おうと思ったが、店主とのやりとりで気分を害し手拭だけを買った。次の「鳴海宿」はもうすぐです。


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