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城野隆『風狂の空~天才画家・小野田直武』 [読書・言葉備忘録]

onodaesi_1.jpg 目的地が決まっているとウォーキングに出で易い。それが決まらぬ場合は、新宿繁華街か早稲田古本屋巡りが多い。そんな某日、古本屋・店先で1冊100円で3冊を入手。その1冊が表題の文庫本。

 数年前に「司馬江漢」をブログテーマにした。巣鴨・慈眼寺の掃苔から始めて彼の人世・足跡を辿った(全23回)。そこに登場の人物・事件は鈴木春信(錦絵誕生)、平賀源内(鉱山、エレキテル、空摺り、金唐革など)、南蘋派・宗紫石、秋田蘭画、銅版画、遠近法、長崎出島、『蘭学事始』から『解体新書』(玄白、良沢、淳庵、森嶋中良ら)、そして定信お抱え銅板画の亜欧堂田善ら。

 同小説・主人公は『解体新書』挿絵を描いた小野田直武。上記人物や事件が総登場で、全てが頭に入っているから物語展開も承知之介。知識のおさらいのように愉しませていただいた。

 その文体も小説ならではの陶酔感へ誘うリリシズム、フィクション少なく、事象記述のようでもありました。田中優子先生が源内と直武はゲイ関係~と記しているも、主人公が陰間茶屋遊びをするのも一度だけ。ネタバレになるが平賀源内、小野田直武の悲劇の裏に田沼意次、松平定信、一橋治斉の暗躍が絡んでいたというところか。

 さて、読後にカバーイラストを改め観て「いいなぁ」。イラストレーター・宇野信哉のサイトを訪ねて他作品も拝見。イラスト制作中の「You Tube」も拝見した。まず背景色をベタ塗り。そこに下絵裏に鉛筆を塗って転写。固い油絵筆で下塗りをブラッシュ&テッシュで「白抜き」にしてから細筆に描いて行く手法。

 細筆は〇〇で、穂先の鋭さ、毛質の保ちよし。輪郭線は中太筆から色をチョイと借りる感じで細筆に移すとポタッを避けるなど。小説と表紙イラスト両方をたっぷりと楽しませていただいた。

 他の各100円2冊は、昔に図書館・書店で探せなかったクララ・ホイットニー著『クララの明治日記』と、澤田ふじ子の日本女流画人伝集『花篝』。後者は最初に北斎の娘・お栄が主人公『野狐』を読んだ。とても良かった。

 おかげで2月は11万歩突破。大充実の3冊計300円。女房が「貧乏が身に付いたお楽しみ~」と笑った。

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