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荷風さんの春の句 [永井荷風関連]

「花散ってまだ吹く風や隅田川」  荷風全集を読んでいた5年前のこと、荷風さんの下町情緒に誘われて初めて墨堤(隅田川堤)の花見をしたことがある。新宿辺りの花見と違って三味線の音が響く宴あり、向島芸者の茶席サービスありでちょっと粋な気分だった。この時は隅田川を遡って「剣客商売」でお馴染みの木母寺(もくぼじ)までそぞろ歩いた。荷風さんはこんな句も作っている。「木母寺に歌の会あり秋の風」。

「お花見は舞台ですます役者哉」  これは芸人の風情ですね。でも明治座、歌舞伎座、御園座、新歌舞伎座…4月公演なら楽屋入り前後に劇場付近で充分にお花見ができます。

「市ヶ谷の八幡仰ぐ木の芽かな」  市ヶ谷の八幡宮は左内坂角の急な石段を登る。荷風さんは余丁町の断腸亭から歩いて、よく八幡様を見上げていた。あたしは左内坂を登りきったマンション一室で事務所を構えていた時期がある。長谷川時雨が「女人藝術」を発行していた辺り。裏窓の眼下に三島由紀夫が割腹した市ヶ谷自衛隊内が広がっていた。今は防衛庁でパトリオット3が迎撃態勢中。荷風さんが亡くなったのは昭和34年4月30日。今年生誕130年で同日が没後50年かも。


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