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「アメ横から西友」Gパン物語 [暮らしの手帖]

 あたしが初めてGパン(ジーンズではなく)を穿いたのは、ジャズ好きの四谷の親戚の兄さんに貰ってからだった。未だ日本製ジーンズがない頃で、自分で「アメ横」にも買いに行った。 当初は「そんなものは穿くな」と親に激しく叱られ、激しく反抗した。以来ずっとGパンを穿いてきた。

 禁煙したのが6、7年前で、俄かに太ってGパンが穿けなくなった。ジーンズショップで何度か買ってはみたが、身体に合わなかった。そのうちに股上の短い変なデザインばかりになって、Gパンとは縁がなくなった。

 先日、西友の850円Gパンを買った。デザインも色も肌触りも気に入って、久し振りにGパンを穿きだした。かかぁもちょっと太って、あたしの穿けなくなったGパンを探し出し「あらっ、私にぴったりよ」と穿きだした。

 昨夜11時、家から一歩も外に出なかったことを反省し、西友850円Gパンを穿いてウォーキングに出た。家から新宿・伊勢丹まで往復約40分、3500歩。街には酔客が溢れていた。酒とタバコとGパン。昔を思い出した。二丁目「棗(なつめ)」のママに「いい歳なんだから、時にはスーツも着なさい」と説教された。伊勢丹メンズ館でギャルソンの濃紺スーツを3着まとめ買いした。深夜まで飲み歩いていた昔を思い出しつつ歩いた。


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