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鵜を真似て溺れるカラスゐると云ふ [読書・言葉備忘録]

kawau1_1.jpg 芭蕉俳文に「烏之賦」あり。凡兆の作だがデキ悪くて芭蕉が直して芭蕉作と成ったさうな。「一烏小大有て名を異にす。小は烏鵲(うじゃく=カササギ)といひ、大を觜太といふ」。こふ云ふ書き出しで、カササギが如何に愛される鳥で、片やハシブトガラスが疎ましいかを描き比べてゐる。

 カササギは秀吉の朝鮮半島出兵の際に持ち帰ったさうで、今も北九州に棲息。野鳥図鑑を見れば、同じくカラス科のオナガに似た体形で腹は白、頭や翼は黒。老いた親鳥に口移しで餌を与へ、牽牛と織女の天の川の出逢ひに翼を並べて協力するなどを挙げ、これに対比させてハシブトガラスが如何に極悪非道で疎ましいかを書き連ねてゐる。俳文らしさの趣(わび・さび)微塵なしの下世話駄文なり。それにしてもカササギ句は基角「鵲の丸太の先にあまの川」をはじめ、実際にかの鳥を見て作ったとは思へぬ句が多い。カササギ句の鑑賞だけでも幾編ものブログ記事が書けさうな…

 で、何故にカワウ写真(右はヒドリガモ♀)かと云へば、カラスの卑しさ列挙の後に「それでゐて鵜の真似をして溺れるやうなバカな鳥である」と云ふやうなことも記されてゐたからなんだ。題名が「烏之賦」ならカラス科のハシボソガラス、カケス、ホシカラス、コクルマカラス、ミヤマカラス、ワタリガラスなどのそれぞれの違ひなどに言及したらおもしろかったのにと思った次第。同じく俳文代表「風俗文選」には支考「百鳥譜」あり。多くの鳥について言及してゐるが感心するほどの内容でもなし。鳥の俳文や句は意外に難しいのかもしれぬ。


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