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キアオジの黒焼き良しと馬琴言ひ [読書・言葉備忘録]

bakinyome_1.jpg そうだ「馬琴日記」を図書館で借りて読もう…と思った。確か最近新刊が出たはず。その時に「そんなに高価な本はあたしには買えぬ」と嘆いたことが脳裏にあって、ならば図書館で借りましょとひらめいたワケ。図書館ネット検索すれば、新刊ではなく古い「馬琴日記」があって図書館閲覧のみ。では周辺本を読んでみましょ。最寄りの大久保図書館に高牧實著「馬琴一家の江戸暮らし」、森田誠吾著「江戸の明け暮れ」、群ようこの小説「馬琴の嫁」の3冊あり。さっそく借りてきた。

 まず「馬琴の嫁」を読んだ。馬琴については1月10日ブログ「ガビチョウと滝沢馬琴」で、あたしは「馬琴=イヤな奴」「狷介固陋」と記した。この小説はそんな馬琴の息子に嫁いだ「てつ」の物語。息子は医者だが病弱で癇癪持ち。馬琴の妻・百も癇癪持ち。それで馬琴が狷介固陋(けんかいころう)とあって、馬琴家には穏やかな寛ぎなど微塵もなし。下働きの女を雇っても数日で逃げてしまう。嫁の艱難辛苦の日々が延々と綴られて、最後に「南総里見八犬伝」の口述筆記をするまでになるんだが、そんな内容だから備忘録を記すまでもない。だがこんな記述に驚いた。息子・宗伯の舌下に血の塊ができて馬琴が切開。口から血が溢れ出たのを見て馬琴がこう言う。「血止めに蒿雀(アオジ)の黒焼きと、寒の紅をつけておくしかなかろう」。「おぉ、アオジかよ」と思わず声を発した。※12月30日ブログ「小春日に足許に寄るアオジかな」にアオジ写真あり。

 ネット調べしたら、アオジ黒焼きの効用は元禄6(1693)年刊の「救民妙薬」に載っているそうな。同書は水戸光圀が藩医・穂積甫庵に命じて作らせた薬草の処方などを記した我が国最初の家庭医学書とか。アオジの黒焼きは血止め、酒の中毒や二日酔い、蛇に咬まれた時の薬になるそうな。先日の御苑散歩でも足許にアオジがいた。今度アオジに逢ったら「おめぇは黒焼きにすると身体にいいそうだなぁ」と言ってやろう。


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