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冬のハエ厠なくてもヤツデかな [散歩日和]

yatude1_1.jpg パソコン内写真を整理していたら、この写真にこんな句がふと浮かんだ。撮ったのは新宿御苑。ヤツデに蠅が止まっている。あたしの子供時分は、どの家も便所脇にヤツデを植えていた。日陰に強く、大きな葉で目隠しにもなったんだ。

 新宿御苑が一般開放された当初、子供のあたしはオタマジャクシ採りに夢中で、御苑の池にドボンと嵌った。泣きながら大木戸門から四谷の親戚の家へ駆け込んだ。同じ時分だろう、実家近く北区十条銀座裏の畑の肥溜めに落ちた。今では考えられぬが商店街の裏は畑だったんだ。畑に肥溜めってことは、それが畑の肥料だった。

 先日読んだ馬琴本に、屎尿の代価が「家族一人分=夏に茄子五十個+冬に干し大根五十本」で、馬琴は「当家は大人五人で子供二人だから六人分の茄子、干し大根を寄こせ」と交渉していた。江戸から戦後間もない頃まで屎尿は畑の大事な肥料だった。パソコンのキーボードを叩きながら「あぁ、時代は遠くに来たもんだ」とつぶやいた。そしたらかかぁが「やれ打つな蠅が手をすり足をする」と一茶の句を詠い、「おまいさん、蠅だ蚤だ屎尿だと一茶にみたいな句ではなく、時にはシャキッとした粋な句をおつくりよ」と言った。


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