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山本兼一「命もいらず名もいらず」 [幕末維新・三舟他]

yamaokahon_1.jpg 東京生まれだが、未だ東京タワーに上っていない。東京生まれだが、江戸城開城・幕末維新もの小説を読んだことがない。江戸末期は化政期(狂歌や戯作)もの、明治大正文学好きだが、幕末維新辺りは手垢だらけで読む気にならず。でぇいち薩長らの我がもの顔でのさばってるなんぞ、読みてぇとも思わぬ。それが新宿発ポタリングで徳川慶喜終焉の地~谷中墓地~全生庵の山岡鉄舟のお墓~、まぁ、そんな経緯をもって、そろそろ寿命も尽きるってぇ歳になって、やっと幕末維新もの小説を読むことに相成候。

 山本兼一「命もいらず名もいらず」は、山岡鉄舟の生き死にの娯楽時代小説。幕末維新の史実に疎いから、まぁ、フィクションを楽しませていただいた。小野鉄舟は江戸生まれだが、父の飛騨高山の郡代任命にともなって10歳から飛騨育ち。子供時分から書と剣道好き。父の死で7年後に江戸は小石川小日向(徳川慶喜の終焉地辺りじゃないか)へ。ここから千葉周作のお玉ヶ池の玄武館で熾烈な修行。やがて「鬼鉄」の異名を有す剣豪に。19歳で実家を離れ小石川同心町(おや、大田南畝の遷喬楼辺りじゃないか。正確には播磨坂の上)へ。その隣に天下無双の槍の名手・山岡静山がいて弟子になる。静山の弟が、母の実家の養子になった高橋泥舟。これで二舟が揃った。

 静山急死で、鉄舟が同家の英子の養子になって山岡家を継いだ。これで山岡鉄舟と高橋泥舟は義兄弟。安政3年に幕府の講武所が開設。黒船来襲に備えた武の鍛錬所で、その頭取のひとりに勝海舟。三舟が揃ったところで、時代は一気に幕末維新の激しい渦へ。長くなるからここで止める。

 終盤は山本兼一描く、鉄舟の剣と禅の奥義を極める筆が冴えて面白いこと。力のある作家です。奥付上の著者プロフィールを見れば「利休にたずねよ」で直木賞受賞とあった。NHK出版、平成22年刊。


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