芝翫と南畝:はいりさへすればかまはず~ [大田南畝(蜀山人)関連]
昨日の芸能ニュースで、人間国宝で名女形だった中村芝翫さんの葬送が放映されていた。で、思い出した。三代目中村歌右衛門(芝翫)と大田南畝のこと。それは新宿歴史博物館の特別展(左のチラシ)関連講演、揖斐教授による「大田南畝における大江戸と風雅」の一節だが、南畝は「芝翫をほめてうたをよめ」といわれ、こう詠んだそうだ。
はいりさへすればかまはずなには江のよしといふ人あしといふ人
化政期の江戸は百万都市となって「大江戸」。「江戸っ子」なる言葉も誕生。そんな江戸に関西の三代目中村歌右衛門(芝翫)が中村座に出て大人気。これに江戸っ子・南畝は面白くない。観客の入りが良いからといって誰が出てもいいってことはなかろう。良しという人も悪しという人もいる。江戸っ子の意地を詠った。うたのミソは浪速湾の葦にひっかけて「良し悪し=ヨシとアシ」。
テレビが地デジになった際に、街頭インタビューに応えた老人がこう言っていた。「もうテレビは観ません。だって出ているの、関西芸人ばかりじゃないですか」。大田南畝のうたをひねって、今のテレビをこう詠んでみた。「視聴率取れば構はず吉本の良しといふ人悪しといふ人」
昔は関西吉本と東京吉本が切磋琢磨し、東京吉本は東京芸人中心だった。今は吉本が関西芸人を連れて東京に乗り込んで来た感がなくもない。かくしてテレビは関西芸人ばかりで、関西のテレビを観ているようになってしまった。大田南畝も本念寺(墓場)で歯ぎしりしているに違いない。東京は百万都市から今は1,318万人都市。東京は全国都市。テレビはキー局、新聞は全国紙。さらにはコスモポリタン化。あたしの街・新大久保はコリアンタウンになり、商店街を歩けば韓国語とK-POPが溢れている。東京っ子は少数派で、かつての東京風情は懐かしくなるばかり。
こんなことを日々ダラダラと記し、アクセス(ページビュー)累計50万を超えた。恐縮です。
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