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卯の花にビルを宿した暮し哉 [おくのほそ道]

baikaame2_1[1]_1.jpg 芭蕉は石巻から北上川に沿って内陸部へ歩く。一関に着いたのが5月12日。ここから中尊寺に向かう。義経の居館であった高館より眼下の野を眺め<夏草や兵どもの夢の跡>を詠んだ。これはもじり済ゆえ、今朝は併記された21句目<卯の花に兼房みゆる白毛かな>(曾良)をいじる。同句は、卯の花を見ると、白髪の兼房が義経の最期にあたり奮戦しているさまが偲ばれ、哀れを催す・・・の意。

 十郎権頭兼房は室町時代に描かれた軍記・伝奇物語「義経記」登場の架空人物。義経関連は史実と伝奇がごっちゃになっている。江戸の皆さんは、これら物語からさらに脚色の歌舞伎、浄瑠璃などで義経に親しんでいた。不遜な指摘だが芭蕉は、歌枕の情景に、古歌で詠まれた歌や虚構物語を幻視して句を作っている。また平泉のポイントは、最初の<行春や>と、最後の<行秋ぞ>の中間が「平泉」で、この三角形で各句が対象構成されているとか。こうした仕掛けが、奥が深いとされるところだろう。

 さて「卯の花」から、一昨年五月に撮った写真を思い出してこう詠んだ。<卯の花にビルを宿した暮し哉> 北上川沿いの原野なら、卯の花にも趣があろうが、あたしんチは今や観光バスも来るコリアンタウン大久保のマンション7Fで、その猫の額ほどのベランダの鉢に梅花ウツギを植えている。その白い花は夜目にも妖しく美しい。雨に濡れた蕾を見ると、雨粒に自然の景色ではなく周囲の高層ビルが写っていた。都会暮しでも健気に切なく自然を慈しみ愉しんで暮していますよと。

 ★ベランダの花と同じく、都会の公園「新宿御苑」にささやかにいる野鳥を求めた。やっとシロハラ、ツグミが入った。今年は遅れているのか、野鳥が少ないのか。


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