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宮の筒お山を灼くる明治かな [くずし字入門]

m_saigouzou2_1[1].jpg 中巻は浅草から上野へ移る。『絵本江戸土産』を描いた西村重長、鈴木春信、そして広重も、まさか江戸末期にお山が官軍のアームストロング砲を浴びることになるとは夢にも思わなかっただろう。この時の指揮官が長州・大村益次郎。彼のドでかい像が靖国神社に建っている。そして彰義隊の墓の傍に、何故か薩摩・西郷隆盛像が建っている。

 

 西郷没に際しては勝海舟が「南洲西郷先生留魂祠」を建ててい(後に洗足池の勝海舟のお墓の隣に移されている)、それで充分だと思うのだが、何故に上野のお山に建てたのだろう。まぁ、今も東京には薩長や宮家武官の像が多い。

 

 ここでは変体仮名(明治33年からの学校教育で漏れた仮名文字)を色筆で書いてみた。例えば「あ」は「安」のくずしからの仮名で、他に「阿・愛・亜・悪」のくずし字は「変体仮名」と括られて葬られた。古文書の勉強の第一歩は、これら変体仮名や異体文字のくずし字を覚えることになる。「黄表紙」は概ね仮名表記ゆえ、変体仮名を覚えただけで読めるようになる。浮世絵春画に添えられたくずし字も、概ね仮名ゆえに読めよう。だが覚えるも忘れるのが人の常。十覚えて八つ忘れの繰り返しに候。いわんやボケ老人のにわか勉強。

 

uenosyunkei_1.jpg 釈文は次の通り。東叡の花ほこぶる頃。いざや花見に参らんとて。幕などもたせ。山王の山より清水中堂の脇にいたりて。所せきまで。思ひ思ひに幕うたせて。あるいは琴三味おどり小うた。実の繁花歌舞地といつゝべし。老若男女貴賤都鄙袖をかざし。もすそをつらね。色めく有さまハ。花のミやこにまさりけり。げに入逢の鐘に。花の散らん事をおしミ。中堂の軒に時ならぬ雪をふらすかとあやしまる。風流絶景の精舎なり

 

入逢の鐘」は日暮れ時の鐘。「東叡」は上野・寛永寺。「所せきまで」は所狭きまで。「歌舞地」は地歌舞か。「精舎」は寺院・僧院。<以上、西村重長「絵本江戸土産」中巻「上野春景」私流メモ2> 


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