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年の暮スズメと遊ぶ皆一茶 [私の探鳥記]

suzume1_1.jpg 下町の印刷屋に行った帰りに、上野下車で不忍池を歩いた。餌を持ちスズメを手に寄せるオジさんがいた。数人のオバさんらが感心して見入っていた。オジさんのあたしは写真を撮った。年の瀬だが皆さん隠居世代。持て余すほどの隙(ひま)がある。

 

スズメと云えば一茶が浮かぶ。一茶が「我と来て遊ぶ(べ)や親のない雀」を詠ったのは文化11年の52歳の時らしい。三歳で実母を失い、八歳の時に迎えた継母になじめぬ孤独を思い出しての句。

 

しかし同句を詠んだ頃から一茶の人生は一変する。52歳で三度目の帰省。長かった相続争いに一応の決着をみて、江戸を諦めて田舎暮らし。28歳の「菊」を娶った。若い妻を菩薩様、観音様と「夜五交合」。「菊」が亡くなると62歳で二度目の妻、38歳「雪」を娶る。すでに中風で歩行困難、寝小便もする一茶が床を迫って「雪」は逃げだした。

 

64歳で三度目の32歳の妻「やを」を得る。今度は気立てがよくて、そんな一茶を菩薩のように抱いてくれた。同年11月に一茶逝去。(参考:丸山一彦校注『一茶俳句集』、藤沢周平『一茶』)

 一茶の晩年は若い女房がらみだが、今ここ不忍池で雀と戯れるオジさんオバさんの一茶たちは、歳相応に枯れてい、しばし「スズメ談義」を愉しんだ。全国の高齢者、隠居の皆さま、年の暮をいかがお過ごしでしょうか。「余計な御世話だ」「おっしゃる通り。あたしは昨夜、心臓がちょっと痛かった。皆さん、健康にお気を付けて…」


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