SSブログ

雑踏の路に骸ぞメジロかな [私の探鳥記]

「荷風さん千疋屋でメジロ買ふ」の写真は、我が家マンション七階ベランダのローズマリーにやってきたメジロ。ベランダにメジロが遊びに来るのは今年で四年目。三年前が一月十八日より。二年前が二月七日より、昨年が一月十日より。そして今年の初訪は一月九日だった。この日から花々が咲き誇る春まで、メジロらは日々通ってくる。食卓から、またホットカーペットに寝転び読書しつつ、間近にメジロを見る愉しみの始まり…。

 

 と期待したが、二日でパタッと姿を見せなくなった。どうしたのだろう。隣のマンションが大規模修繕で足場を組み始めたせいらしい。落胆の一月十七日のこと、ウォーキングを兼ねて新宿西口ハルク地下に魚を購いに行った。ハルク五、六㍍手前の雑踏歩道に、メジロの無残な死体があった。人の流れに沿っての一瞬の映像。ウグイス色の羽根、裂かれた腹を晒して潰れていた。踏まれもしたらしい。

 

 メジロ好きのあたしらにはショックだった。五、六歩を歩いてから二人同時に「今のはメジロだったよなぁ」「間違いなく」。いったいどうしたのだろう。「誰かの仕業。いや人じゃないよなぁ」「うん、あれは空から落ちたような」「カラスに殺られたか」。あたしらは何年も前のこと、高田馬場へ行く途中の公園脇路上で、カラスがハトの肉を食いちぎっている光景を見たことがある。

 

「新宿西口の雑踏のなか。カラスでもスズメでもなくメジロの遺骸。見方を変えれば、それだけ都心にメジロが殖えたってことか」「去年は家のマンション七階に三番、六羽のメジロが遊びに来ていたし…」それにしても無残な映像。辛いものを見てしまった。

 

 花鳥風月を愉しめば、無残な花鳥風月にも触れざるを得ぬ。自然の摂理は致し方ないも、人の傲慢による自然破壊は計り知れぬ。かつて“美しい国、日本”とか叫んでいた奴がいて、やっていることは経済優先と強国願望らしい。


コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。