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池田満寿夫と横尾忠則 [スケッチ・美術系]

ikeyoko_1.jpg 図書館で『画境の本懐 横尾忠則』なる書を見た。池田満寿夫と横尾忠則は共にモジャモジャヘアで風貌が似ていた。2歳違いの同世代。エロチックな絵が多い。母親好き。ピカソ好き。〝剽窃〟が得意でコラージュ好き。文章もよくしたため、池田は芥川賞作家になり、横尾は弁当箱ほどに厚い書があった。

 受賞歴も多少の年代ズレがあるも似ている。池田は26歳で第2回東京国際ビエンナーレ展で文部大臣賞。翌1961年の第2回パリ青年ビエンナーレ展で優秀賞。横尾は33歳で第6回パリ青年ビエンナーレ展で版画部門グランプリ。この二人、似ているから互いに反目したか、交流が少ない。小生調べでは池田が芥川賞受賞で超多忙の頃に共著一冊(未読)、キャンペーンで共に西サモア島に行っているだけ。

 横尾は当初、印刷普及してこそ価値ありと、絵画や版画に否定的発言をしてい、1980年頃に〝画家宣言〟。池田は古今画家を論じた(分析した)文章が多いが、横尾は夢や少年期の思い出など自身の奥へ入り込む記述が多い。二人は似ていたが、根は違った。

 「ややこしい奴だなぁ」と横尾のオフィシャルサイトを見たら「ウェブショップ」の物販が積極展開されていた。版画やポスターや書籍はわかるが、ラーメン丼、扇子、ハンドバッグ、トートバッグ、マグカップ、スカーフ、Tシャツ、マスキングテープ、時計に傘やストラップ。何じゃこれ!。歌手らがコンサート会場やファンクラブ通販で売るのと同じで、興醒めした。

 兵庫に「横尾忠則美術館」があって、豊島に記念館もあり。国民的歌手や俳優らが、死後も遺族や仲間らが著作権事業展開で、本人生前中と変わらぬ活発展開例がままあるが、〝隠居宣言〟をした彼は79歳で、早くもそんな体制を整えたかと思ってしまった。

 池田満寿夫は女性遍歴から〝破滅型〟と分かる。比して横尾は家族の繁栄を願い、堅実な夫で父なのだろう。それでいて絵には概ねあぶない女体を描き込む。芝生で瀬戸内寂聴の膝枕で寝転がる有名写真があるも、この感性も理解し難い。寂聴は今、老体鞭打って現政権と闘っている。横尾は文化人には誰でも飛びつく八方美人で主義主張なし。冒頭の書に、池田満寿夫と暮していた当時の富岡多恵子が記した「贋絵師・横尾忠則」が収録されていた。


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