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伊藤整・礼親子の著書を愉しむ [読書・言葉備忘録]

itooyako6_1.jpg 北斎「悪玉踊り」を描きつつ幾冊も読書した。そのなか何年も前に古本屋にて400円で購ったままの伊藤礼著『伊藤整氏奮闘の生涯』も読んだ。最終章は「伊藤整氏の死」。氏の没は昭和44年末、享年64歳。その時、次男礼氏は36歳。その16年後、52歳で父の生涯を書いた。

 知性派作家・伊藤整の家族を構えての戦中・戦後の奮闘。男親と息子の難しい関係。帯に”ユーモラスに描く”とあったがシリアスな奮闘記だった。「伊藤整氏の死」を読めば、己の人生を振り返り、やがて訪れる死の覚悟もしないワケには参らぬ。

 小生は20代前半に伊藤整翻訳のD・H・ローレンス『チャタレイ夫人の恋人』と、ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』を読んだ。そして隠居後に自転車に乗り始めて、今度は礼氏の愉快な自転車エッセー3冊を笑いを堪えつつ愉しんだ。

 礼氏は今82か83歳だろう。だが礼氏は己の人生や死の覚悟より『耕せど耕せど~久我山農場物語』(2年前の刊)で家庭菜園の奮闘を愉しそうに書いていた。自宅12坪の庭を〝久我山農場〟と称し、まずはリョービの小型耕運機「エンジンカルチベーターRCVH-4200」を買ったことから書き始めている。

 小生は少年期にヘルマン・ヘッセの青春小説を読み、50代になって思いがけずヘッセ『庭仕事の愉しみ』に出逢って、伊豆大島でガーデニングに精を出したことがある。島では時に襲ってくる塩害に庭仕事を断念したが、伊藤礼著によって、再び荒れ庭を耕してみるのもいいかなと思った。

 青年期に整氏、隠居後は次男・礼氏と親子二代の著書を愉しむなんてこたぁ~滅多にあることじゃない。昨日はお彼岸のお中日(20日)。墓参り(小平霊園)へ行けば、なんと伊藤家のお墓も同霊園にあった。


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