SSブログ

御油「此ゆふべ櫛やけづらむ妹が髪~」 [狂歌入東海道]

36goyu_1.jpg 第三十六作目は「御油(ごゆ)」。狂歌は「此ゆふべ櫛やけづらむ妹が髪あけ油てふ宿につく夜は」。「けづらむ=梳らむ=くしけづ〝らむ〟」、「らむ=~ているであろう」、「てふ=といふ」、そして「あけ油=天皇献上油=御油」だろうか。

 絵に描かれた傍示杭は宿場入口を示すものなら、この橋は音羽川に架かる「御油橋」だろう。一人で歩き出した弥次さんは、顔を塗りたくった留女らが、強引に袖を引くのがうるさくて一首~

 「その顔でとめだてなさば宿の名の御油(ごゆ)るされいと迯(にげ)で行ばや」。「迯」は滅多にお目にかかれぬ異体字。「御油るされい=御許されい」の駄洒落。

 保永堂版「御油・旅人留女」では、旅人を襲い拉致するかの凄まじい留女が描かれている。なお「御油」の由来は〝日本書記の持統天皇〟が近くに来た際に油を献上したという伝説からとか。

36goyuuta1_1.jpg 御油を出ると現在は天然記念物となった〝御油の松並木〟が赤坂宿まで続いているそうな。当初は徳川家康の命で植えられたそうで、今も松が三百五十九本とか。田辺聖子は「何という美しい道路だろうか」と記していた。

 さて、弥次さんは宿外れの茶屋の婆々に「この先の松原にわるい狐が出おるゆえ、この宿でお泊りなさい」と勧められるも、喜多さんが先行して「赤坂」で宿を確保しているはずなので、歩き出すほかにない。やがて狐の鳴き声が聞こえ、土手に座った喜多さんを見つける。

 弥次さんは「狐が喜多さんに化けた」と思い込み、喜多さんを後ろ手に縛り上げて赤坂宿に入って行く。御油から赤坂までわずか2㎞なり。


コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。