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甲州街道端の店に盗賊忍入 [くずし字入門]

komon3-1_1.jpg 古文書講座復習6 ブログ絵に〝盗賊〟を描いた次は、古文書も盗賊文書です。襲われたのは甲州街道端の荒物屋。

 乍恐以書付御訴奉申上候 角筈村源助店(だな)六左衛門奉申上候、私義、甲州道中往還端(おうかんばた)二而(にて)木綿荒物類商売仕罷在(つかまつりまかりあり=つかまかりあり?)候処、先月廿八日夜、表口戸押明ケ(おしあけ)盗賊忍入(しのびいり)、見勢(みせ)へ差置(さしおき)候売物・銭ともに被盗取(ぬすみとられ)候品。左之通り 一 桟留縞反物 四反 一 木綿切 弐十程 一 さし足袋 四足程 一 雪駄 四足 一 銭六貫九百文 箱二入 〆五品

 文は続くが、ここで区切る。「往還端」はちょいといい響きだ。「大川端」は隅田川の右岸。浅草・吾妻橋~浜町辺り。「井戸端」も懐かしい。「池の端の師匠」と云えば故・柳屋三亀松師匠。上野・不忍池に面した地。「往還」は往来する道。往還端=街道端。五街道以外は「腋往還」。

 ン十年も馴染の印刷屋は山手線「田端」駅近く。駅改札口は道灌山台地端で、エスカレーターで下ったホームが崖下になる。一方、荒川・隅田川沿いの低地から見れば低地際。両側から見ても〝田端〟か。江戸名所図会通りの地形がそのまま今も遺っている。

 ここはそんな呑気な話ではなく、恐ろしい強盗の奉申上書。「私義=〝しぎ〟ではなく〝わたくしぎ〟=私の個人的な事で恐縮ですがの謙遜的な意」。単に「義=ぎ」は「こと、=について」。「金子有之義(きんすこれあるぎ)」や窃盗犯の名の後に付く「義」は「~について」の意。「差置(さしおき)」はいろいろ解釈されているが、差=接頭語ゆえ〝置いた〟の意でいいだろう。他に難しい言葉もないから、ここは「くずし字」の練習のみ。(続く)


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