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咲けば散るせめて後ろをせめて撮り [花と昆虫]

gera3_1.jpg 花は散り、実を宿す。この花の受粉は、虫でも風でもなく「雄性先熱」。その説明は後にして、まずは後ろから撮った。

 そのワケは、光を正面から浴びた花弁が〝白く〟なって、花本来の色が出なかったからだ。光を避けての後ろからのショット。

 今、岸田劉生の関連書を読書中。富山秀男『岸田劉生』(岩波新書)に、劉生の水彩画(白・光は塗らずに紙の地を残す)について、概ねこんな文章があった。

「油彩と水彩は、技法的に対極にある。油彩は筆触を重ねて執拗に対象の美を追求して行くが、水彩は描く前に対象の美を呑み込んだ上で、筆触少なく内なる美への突入を目指す。それによって透明水彩の味・美が得られる」

 これを言い換えれば、油彩は〝見るまえに跳べ〟。まずは描き出し、筆触一つ一つに責任をもちつつ悪戦苦闘を重ねて美を描き出す。あれっ、実存主義風ではないか。

 比して透明水彩は〝描く前に考えろ〟。塗らないハイライト部分、筆触少なくどう彩色するかなどを見極めてから描き出す。岸田劉生はそう考えて油彩から水彩、日本画へ関心を深めて行ったと記してあった。

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