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日本語(10)濁点記号〇〇が〃になる。 [くずし字入門]

dakuten_1.jpg 小池著のⅤ章は「近代文体の創造 夏目漱石」(近代小説家らの文体・日本語論)。Ⅵ章は「日本語の文法の創造 時枝誠記」(日本語の現代文法成立の過程を紹介)。ここは濁点疑問から離れるのでスルーする。

 最後に山口著『てんてん』より第六章「訓読と濁点」を読む。菅原家に対する藤原家の「冬嗣」(恒武天皇に信頼厚く左大臣まで出世)が創った大学寮「勧学院」の故事成語に「勧学院の雀は〝蒙求〟を囀る」(蒙求=もうぎゅう、中国語初学者向け教科書)。これは例えば、学生らが「秋収冬蔵」を中国語で「ツユゥツユゥ・チュウジュオウ」と覚え読むので、雀が囀っているようだの意。当時は中国語発音教師〝音博士〟なる渡来人がいたと説明。

 しかし遣唐使廃止後は「日本語で漢文を読む訓読」になって数字や返り点、さらに漢字の四隅に「ヲコト点」付きで読ませるようになる。「日本語英語」ならぬ「日本語〝漢文〟」。日本人が作った最古の漢和辞典は『新撰字鏡』(僧侶・昌住の著。898~901刊)。現代の漢和辞典と同じく部首分類で編集。音読み、万葉仮名で日本語の訓読み。これは経典を日本語で読むための辞書。

 次に作られたの辞書が『和名類聚抄』(源順著、931~938)。万葉仮名の日本語読み。次が「いろは」検索の『色葉(いろは)字類抄』。漢字の音読みをカタカナ表示。例えば「雷」は「ライ」。訓読みで「イカツチ」。別頁の「雷」には音読み「テン」。訓読み「イナツルヒ・イナツマ・イナヒカリ」。

 平安中期1100年に『類聚名義抄』が登場。これはアクセント記号、濁点記号付き。アクセント記号が(→)や濁音〇記号が付けられている。小生が確かめれば(写真)、カタカナの左上や左下に「〇〇」印あり。ヒクラシ、ヒコホシ、ヒクレ、ヒケなどに濁点〇〇印があるのがわかる。

 この濁点記号が、後に濁点(〃)になると説明。例えば「油=阿布良(万葉仮名)」で「布」横の平音位置に「〇〇」で「ブ」と読むという印付き。

 次に言葉が二つ合わさっての「連濁」は『万葉集』当時からあって「竹竿(タケザオ)」、「神棚(カミダナ)」「島々(シマジマ)」など。この連濁は幽霊のように時代や方言によって現れたり現れなかったりで一定ではなかったと説明。また江戸弁になると「でぇこん(大根)・でえく(大工)などやたらに濁点が多発されるようになったと説明。

 未消化・理解不足ながら、この辺で「てんてん」のお勉強を終了します。なおこのシリーズのカットはすべて国会図書館デジタルコレクションより。

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