SSブログ

伊豆大島の動物公園と中西悟堂 [野鳥関連本]

 中西悟堂「定本 野鳥記」第1巻に「放飼編」が収められている。「野鳥の会」は野鳥を飼ってはならぬがモットーだが、当時は籠飼い全盛で「飼うならこう飼え」とばかり部屋、家の中での放し飼い。ヨシゴイ、チュウサギ、カワウ、オナガ、カラス、トラツグミ…と、まぁ糞まみれで一緒に暮らした観察記述が収められている。だが同編末にこう書いてあってちょっと驚いた。…今は禽舎はがらあきである。ほとんどの鳥を、東京湾汽船の林社長の懇望で伊豆の大島へ移してしまった…。「放飼編」が書かれたのは昭和10年頃で、その頃の伊豆大島は昭和3年の野口雨情・中山晋平『波浮の港』大ヒットに端を発した大観光ブームが続いていて、三原山にラクダを連れてきたり、集客あの手この手も盛り上がって、泉津村に大島自然公園動物園が開園したのが昭和10年。同園は開園から3年後に東京湾汽船から東京市に寄付されたが、この動物園は実にいろんな動物を逃がして生態系を崩す過ちを犯しているようだ。その数例を以下に紹介…。

 昭和11年のこと。3匹の子供のツキノワグマが脱走した。2匹は捕獲できたが1匹は不明のまま。昭和30年に大クマが目撃され、昭和43年に老いた大クマが射殺されている。この脱走クマは30年近く息を殺すようにして島に棲息していたんである。今も島にはタイワンサルとタイワンリスが大増殖しているが、これらも動物園からの脱走個体がルーツとも言われている。(当時の「島の新聞」参考)

 先日、神奈川県・舞岡公園でカワセミを撮ったときのこと。「グワッ・グワッ」の鳴き声に「あれは何の鳥ですか」と500㎜のLレンズを三脚セットの大先輩風に訊けば「タイワンリスだよ。○○が抱卵して楽しみに狙っていたのに、ヤツらが食いやがったんだ」と吐き捨てるように言ったもんだ。島に行けばこのリスの鳴き声は耳慣れしているが、鳥の森でタイワンリスとは思ってもみなかった。とまれ大島に鳥が少ないよなぁと思っていたが、ヘビに加えてこのリス大繁殖の被害も大なのじゃないかと思った。三宅島はヘビがいなくてバードアイランドになっているが、リスはどうなんだろう。外来種リスがどれだけ生態系を崩しているかの調査データをみてみたいもんです。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。