遠藤公男「野鳥売買メジロたちの悲劇」 [野鳥関連本]
四谷図書館で野鳥本8冊を借りたが、あんまりいい本はなかったなぁ。その中でガツンと来て、一気読了したのが遠藤公男著「野鳥売買 メジロたちの悲劇」。著者が絶えぬ輸入鳥の実態調査にドン・キホーテさながら香港に旅立ったのは1990年のこと。バードストリートに70数店。メジロを主に多種野鳥が小さな鳥籠に捕らえられ悲鳴をあげていた。彼は輸出元の中国に飛ぶ。膨大な野鳥が売られる鳥の奴隷市場。国営の輸出機関に潜入する。出荷数は年間100万羽。中国のメジロ猟を目撃する。囮箱やカスミ網。4度目の香港で年5万羽も日本に輸出する会社に潜入し、再び中国に入る。大きな野鳥輸出会社が二つで年間200万羽の商い。売れないオスは餃子の材になり、出荷・その途中に膨大な鳥たちが死んで行く。
一方、日本では日本のメジロ売買は禁止だが、輸入メジロ(980円)の証明書を日本メジロに付け替えて5000円ほどで売っている。日本でも密猟が止まらない。著者は日本、香港、中国の密猟、輸入・輸出の実態を次々に明かして行く。中国から日本への野鳥輸出が止まったのは2001年。日本でも2002年に密猟メジロや密輸メジロを飼うだけで6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金…の法が成立。著者はスパイさながら密猟業者の中に潜入し、捕まったメジロなどに「きっと助けてやるからな」と涙をながしつつ奮闘。迫力のドキュメントです。(講談社新書 2002年刊)。著者には日本のカスミ網猟と命がけで闘った人々を描いた「ツグミたちの荒野」もあり、この書はその続編と言えそう。
2009-01-17 08:33
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