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半藤一利「其角俳句と江戸の春」 [永井荷風関連]

kikakuhon_1.jpg あらっ、こんな本があったとは。図書館には事前に借りたい本をリストアップして行くが、目的定めず本棚を眺め歩いて同書に出逢い小躍りした。著者の「永井荷風の昭和」「荷風さんの戦後」を読んでいるが、同書は江戸っ子が親しんだ其角の有名句を四季に分けて解説、というか江戸の暮しを記しているが、「其角ばなしの章」最終章が「永井荷風と冬の蠅」。

 まずは同書引用で其角の紹介。「宝井其角または母方の姓をとって榎本其角(1661~1707年)。生粋の江戸っ子。14、5歳で芭蕉に師事し、芭蕉に<門人に其角、嵐雪あり>といわしめる蕉門十哲の筆頭俳人」。これにあたしが追記すれば、俳人に関西系が多いも、粋が信条の江戸っ子で酒が好き、女好き、吉原好き。まっ、不良俳人だな。

 さて「永井荷風と冬の蠅」。荷風さんは其角が好きだったに違いないと「日和下駄」「断腸亭日乗」「荷風俳句」から其角がらみを拾い集めている。(あたしもそうやって遊んだことがある)。以下引用。「永井荷風の随筆集に“冬の蠅”がある。その序に“憎まれてながらへる人冬の蠅”という普子(其角)の句をおもひ浮かべて、この書に名をつく・・・(中略)。それはもう楽しいくらいに荷風さんは其角への思い入れを作品のとことどころに織り込んでいる。つまり<冬の蠅>同士の深い愛情で二人は結ばれている」

 そして其角俳句を下敷きにした荷風句を拾っている。例えば其角の吉原句「京町の猫通ひけり揚屋町」から、荷風は「色町や真昼しづかに猫の恋」。また「日和下駄」は其角が読んだ江戸風情の句を辿るように歩いていると指摘。最後に著者は、荷風は最晩年の昭和31年11月29日、白金・上行寺に其角墓に詣でている・・・で締めくくっている。なお、今は同寺は伊勢原市に移転。平凡社、2006年刊。

★追記:其角については今泉準一著「其角と芭蕉と」がお薦め。流し読みなので、もう一度熟読したい。これ内緒だが大久保図書館にある。


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