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森まゆみ「彰義隊遺聞」 [幕末維新・三舟他]

morisyougitai_1.jpg 落語は古今亭志ん生、志ん朝。ブンガクは金剛寺坂から余丁町の永井荷風、化政期の牛込中町の大田南畝(蜀山人)。俳句は其角。東京生まれゆえ、東京の芸人、文人が好き。で、東京っ子てぇのは潜在的に薩長土肥による幕末維新ものを好かん。

 それが自転車で走りまわれば、さほど遠くない小石川・小日向に最後の将軍・徳川慶喜邸跡があり、大正2年まで愛車(自転車と自動車)まで持って暮らしていたと知って、いささか驚いた。 そこから本所の勝っつぁんこと勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟を経て「彰義隊」に行き着いてしまった。毛嫌いしていたが、どっこい江戸っ子や東京っ子の幕末維新史観というのがしっかりあって面白い。かくして森まゆみ「彰義隊遺聞」(2004年刊、2008年文庫)。

 前段が長くなったんで本題をはしょる。著者は下町の地域誌創刊。古老から彰義隊の昔噺を聞く機会が多かったのだろう。腰を据えた調査16年を経て同書を著した。あらんかぎりの文献・資料、古老らからの聞き書き、実際に彼方此方歩いて考察。「彰義隊」を語るに欠かせぬ労作・力作、立派な仕事。それでも著者は「明治30年代の山崎有信の著作を超えられるはずもなく」と調査に区切りをつけたと記す。

 谷中・根津・千駄木・・・はポタリング機会も多く、同著を読んだあとは彰義隊が遺した傷が見過ごせぬ。一冊購えば一冊捨てる蔵書せぬ信条も、同書は手許に置きたいと新宿ジュンク堂、馬場・芳林堂に走れど在庫なし。著者の芸術選奨新人賞受賞「鴎外の坂」もなし。DVD付き「美木良介のロングブレスダイエット」を購って帰った。

 翌日、「あぁ、ネット販売があるじゃないか」。アマゾンなどで同書古本1円から売りに出ていたが、三省堂書店お取り寄せサービスに依頼。昨日、神田まで走って定価入手。神田は27日~来月3日の「神田古本まつり」の準備で忙しそうだった。


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