世の人の見付ぬカモや江戸小紋 [おくのほそ道]
須賀川宿の相良等窮の屋敷内に、大きな栗の木陰に庵を構えて隠棲の僧・可伸が暮らしていた。あの西行が「とち拾うほど」と詠んだ境地も、この閑寂の佇まいだったろうかと詠んだのが第13句目<世の人の見付ぬ花や軒の栗>。地味で目立たぬ栗の花を愛で、軒端に咲かせているこの「庵」の主人も、世の人の目にとまらず、いかにもゆかしいことよ。
「庵」が出てきたついでに、上写真「庵点」について記す。文中に和歌、謡曲、俳句などを記すときに歌記号、庵点(いおりてん)を入れるが、それがSo-netブログ上では〓に化けてしまう。哀しいねぇ。仕様がないから歌詞挿入は「♪~」、俳句挿入は<>にしている。
さて、もじり遊び句は<世の人の見付ぬカモや江戸小紋>とした。誰も言っていないが、小生はひそかに江戸小紋のあの微細模様(クリックで胸から腹をご覧遊ばせ)は、江戸の職人が尾長鴨などからヒントを得たと勝手に思っている。年増がその妖艶な肢体を地味な江戸小紋で抑えて粋に着こなし歩いて行く。オナガガモを見ると、そんな江戸の色っぽい情景を幻視して愉しむのもまた風流でございます。
2011-12-29 07:05
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