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遊女また貞女も揺るる春兆し [おくのほそ道]

roubai1_1.jpg 芭蕉は「今町」から「高田」へ。地元俳人の待遇が良かったか、歌仙を巻くなど機嫌を直している。越後は遊女が多い。この辺は例の深川芸人・繁太夫「筆満可勢」に詳しい。そんな艶っぽい地から「親しらず、子しらず、犬もどり、駒返し」の難所を越えて7月12日に市振(一振)に泊。ここで44句目、<一家(ひとつや)に遊女もねたり萩と月>」 思いがけず遊女と同宿で、自分のような男と遊女の組み合わせは月と萩のような不思議な取り合わせの妙よ・・・の意。いつの間に季が秋になった。

 この句は「曾良にかたれば、書とゞめ侍る」と記すも、曾良の日記にはそんな記述は微塵もなし。加えて当時の越後で遊女二人旅は考えられぬとも言われて、これまた芭蕉のフィクション説が勝る。俳句は虚構が面白い。

 あたしもフィクションで参ろう。取り合わせの極みは対極だろう。遊女に貞女、真面目と助平、勤勉と怠惰、嘘と誠、善と悪・・・両面を有して人。これ鬼平(池正)の得意科白。さらに加えれば、日本人は「夏・冬」に「秋・春」の良さも知っている。12ヶ月それぞれの良さも知る。職業、性別、年齢を越えてみな同じ人間という許容も広い。<遊女また貞女も揺るる春兆し>。 ははっ、お粗末!(写真は早春のロウバイ)

 ※有馬哲夫「原発・正力・CIA」読了で、次に同氏著「日本テレビとCIA」を読み始めた。2005年になってワシントンの国立第二公文書館から出てきたGHQやCIAの資料によって読売新聞、日本テレビ、正力松太郎の隠されていた顔が白日に晒された。これまた人・企業の別の顔で面白い。そう、芭蕉だって嵐山光三郎「悪党芭蕉」が面白い。


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