むざんやなメジロの愛が地に転び [おくのほそ道]
芭蕉は小松の太田(多太)神社に参詣し、斉藤実盛遺品の兜を見てこう詠んだ。50句目 <むざんやな甲(かぶと)の下のきりぎりす> この兜を見ると実盛が自分の育てた木曾義仲と戦わんと出陣して討死した、いたわしさが偲ばれる。哀れを誘うように兜の下でキリギリスが鳴いているよの意。芭蕉は「きりぎりす」を多く詠っているが、さて「キリギリス」と「コオロギ」のどっちだろうか。実盛が白髪を黒く染めて若々しく戦った最期、義仲との関係などは「平家物語」による。西行を師と仰ぐ芭蕉にとって「平家物語」は欠かせぬ読物だったに違いない。
過日、新宿御苑を散歩していたら枯草に、こんな鳥の巣が引っかかっていた。あそらくメジロの巣と思うが、春の繁殖に備えた巣作り最中にカラスに襲われたのだろう。御苑では落ちたメジロの巣を数度見ているから、相当数がカラスにやられているとみた。<むざんやなメジロの愛が地を転び>
2012-02-03 07:48
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