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カワセミや石より白き糞の上 [おくのほそ道]

kawa1_1.jpg 芭蕉が小松から西、紅葉の名勝地でもある那谷寺(なたでら)で詠んだ句が<石山の石より白し秋の風> 那谷寺境内には白い大きな石英岩の洞に観音像が安置されているそうだが、山本鉱太郎著では「那谷寺にそんな岩はなく、ここの岩は薄黒い凝灰岩だが・・・」と記している。これまた「秋の風」に「白」を置いたフィクションだろうか。

 元禄2年秋から、今は平成24年立春。「秋の風」ならぬ「冬の風」がまだまだ厳しい。一昨日、かかぁを誘って新宿御苑散歩へ向かったが、余りの寒さに途中で引き返した。そして昨日、やや穏やかゆえに御苑へ出直した。彼方此方の池が凍って、カワセミが至近で撮れる凍らぬ池に移ったとかで「カワセミ撮り」が並んでいた。

kawa2_1.jpg カワセミを観ていたら、尾をピクッと上げて白い糞をピュと放った。那谷寺の石英岩でも凝灰岩でもなく、普通の灰色の岩に白い糞跡が幾状もあった。「それがカワセミ出没個所の探し方」とベテランが教えて下さった。ヤマガラの番も飛んで来て水を呑んでいた。あたしとかかぁは近くの日向ベンチで、そんな鳥撮り達を見ながら崎陽軒のシューマイ弁当を食った。かかぁがシュウマイを頬張りながら芭蕉句をもじった。<カワセミや石より白き糞の上>

 追記)元禄5年の芭蕉句に<鶯や餅に糞する縁のさき>がある。復本一郎著「芭蕉俳句16のキーワード>で、同句をえらく褒めていた。鶯が持つ本意(その季語が有する意味合い)、本情(季語が有する情緒)を見事に超克した句だと記す。うむ、その意では<カワセミや石より白き糞の上>は秀句ではないか。かかぁは芭蕉かもしれないと思った。


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