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終宵酒の肴に火を見つめ [おくのほそ道]

yomosugara_1.jpg 芭蕉は8月8日に北枝と一緒に大聖持という城下町のはずれの全昌寺に泊まった。ここで曾良が前日に残し置いた句<終宵秋風聞やうらの山>を手にした。この項に、芭蕉は「終宵嵐に波をはこばせて 月をたれたる汐越の松 西行」と記すが、この歌は蓮如上人の作らしい。

 曾良句の「終宵(よもすがら・よすがら)」は「夜」+助詞「も」+接尾語「すがら」。夜通し、一晩中の意。翁と別れ、一人の旅寝はひとしお淋しく、昨夜は裏山を鳴らす秋風を一晩中聞いていたよの意。中年の男同士が、ホモセクシュアルじゃなきゃ言えぬ句です。

 終宵(よもすがら)で一句。伊豆大島のロッジで20年余、薪ストーブを愉しんできた。眠れぬ夜に、ストーブのチロチロと燃える炎を見つめつつグラスを手にしていると、いつの間に無心となり、やがては酩酊に至る至福の時を何度も愉しんできた。<終宵酒の肴に火を見つめ> おや、まぁ、基角の句に <かたつぶり酒の肴に這わせけり>がある。


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