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豊かさや花鳥風月売り払ひ [おくのほそ道]

 芭蕉が敦賀に泊まったのは8月14日。「明日の十五夜の天気は」と宿の主人に訊くと「変わりやすいのが北陸路の常で、明日の天気はわかりません」と答えた。そして15日、雨が降った。<名月や北国日和定(さでめ)なき> 仲秋の名月を楽しみにしていたのに、なるほど、北国の天気は変わりやすいものよ。

 さて、スケール大きく地球を詠ってみよう。今は北極圏の氷が解けて、寒気が北半球に下がってきたそうで、日本だけでなくヨーロッパ各国も記録的寒波に襲われている。これまた地球温暖化の歪みでしょうか。<大寒波地球日和も定めなき>

 ちょっとスケールが大き過ぎた。鳥になって福井県を飛んでみよう。まず敦賀で上昇。眼下に「敦賀原発・2炉」と廃炉中の「ふげん原発」がある。ここから西に飛ぶ。「もんじゅ原発」がある。美しい白茶色の砂浜が続いて「美浜原発・3炉」、絶景の海岸線が続いて「大飯原発・4炉」、「高浜原発・4炉」・・・あぁ、まさに原発銀座だ。原発交付金で潤っているか、立派なハコ物も点在する。欲が欲を産んで歯止めがきかなくなった感がしないでもない。

 美浜出身の某歌手は、少年時代を振り返って「貧しかったが、豊かな自然が夢を育んでくれた」と言った。むろん芭蕉の時代はもっと貧しかった。しかし何処にも劣らぬ、須磨に勝ちたる花鳥風月の豊かさを誇っていたはずだったが・・・。<豊かさや花鳥風月売り払ひ>


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