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老いぼれてあと幾春の愉しみぞ [おくのほそ道]

kannzakuramejiro_1.jpg 芭蕉の「おくのほそ道」は、敦賀に曾良手配の弟子が迎えに行って、三日を要して8月20日(陽暦10月3日)ごろに大垣着。160日間、約2400㎞に及んだ旅を終えた。深川「芭蕉庵」を引き払い<草の戸は住替る代ぞひなの家>を最初の句に芭蕉50句、全62句がここで終わった。最後の句は、<蛤のふたみにわかれ行秋ぞ> この句は大垣に集った門人らと別れ、伊勢の遷宮式を拝みに再び旅立つ際に詠った。句意は、離れ難い蛤の身とふたが別れるように、また皆と名残惜しいが別れなければならない。折から秋も暮れようとしていて、淋しさがしみじみ感じられるよ。

 旅立ちの最初の一歩、千住で詠った<行春や鳥啼き魚の目は泪>と対をなす句で締め括られている。共に別れを惜しむ句。「おくのほそ道」の冒頭文「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」で、「日々旅にして旅が栖(すみか)」が貫かれている。

 「おくのほそ道」定稿が出来たのは、旅を終えて4年後の元禄6年末か7年頃。旅の最中に詠んだ句の他に、同草稿を書いた元禄5、6年頃の句も多い。また「おくのほそ道」掲載句の他に、旅の途中で曾良に「書留」させ、これまた何度も推敲して後に発表された句も多い。

 さぁ、最後の句を遊んで、あたしの62日間にわたった「おくのほそ道」シリーズも終える。<老いぼれてあと幾春の愉しみぞ> 春はもうそこです。今は我が7Fベランダに遊びにきているメジロらも、間もなく新宿御苑の寒桜に群れ集うでしょう。つまらんシリーズにご訪問いただき、ありがとうございました。

 「おくのほそ道」シリーズ参考書:小学館「日本古典文学全集・松尾芭蕉」、岩波文庫「芭蕉おくのほそ道」を主に、次の本を参考にしました。金森敦子「芭蕉はどんな旅をしたか」、上野洋三「『奥の細道』の謎」、嵐山光三郎「芭蕉の誘惑」「悪党芭蕉」、山本鉱太郎「奥の細道なぞふしぎ旅」、安東次男「おくのほそ道」、山本健吉「奥の細道」、尾形仂「『おくのほそ道』を語る」他。 


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