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佐野眞一『てっぺん野郎』(2) [読書・言葉備忘録]

 前回の続き。引用が多いとまずかろうゆえ、以下おもしろい所のみの概要・・・。★慎太郎結婚は芥川賞受賞後の一橋大在学中の23歳で、妻・典子は高校生。典子の母・政子が世界救世教・逗子支部長で、慎太郎の母・光子が「手かざしの除霊」を受けるなどの交流から。慎太郎も、この除霊を信じていたらしく「肺炎が三日で治った」と。宗教がらみ結婚に、裕次郎がコップを叩き割るほど反対。

 ★妻・典子の従兄弟の子と、小泉純一郎の秘書で実弟が結婚。慎太郎夫妻が仲人をした。妻の縁で小泉純一郎とつながった。★あの野郎はAB型の典型でね、とにかく飽きっぽい。ものは早見えするけれど、すぐに行き詰まる。そして、たちまち投げ出す。(一橋大の同級生・高橋宏) そう云えばお台場カジノ構想、カラスのミートパイ、横田基地問題、新銀行、銀行やホテルの外形標準課税などいろいろあり。★自己顕示欲が強く、君子豹変する方だよ。実利的な男。(松野頼三) ★強烈な自信、逆にいえば驚くべき自己省察の欠如。無意識過剰。(江藤淳。湘南中の同級だが、それまでは新大久保在住)。

 三島由紀夫の自意識過剰に比し、「無意識過剰」。ゆえに天衣無縫の稚気。うちのかかぁなんか、あの笑顔でコロッと参っちまう。★読んでいて大笑いは・・・、立川談志の毒蝮を乗せた選挙カーとすれ違った慎太郎が「おめぇの選挙応援には、ろくなのがこねぇな」に、談志が応酬。「おめぇんとこだって、開高健とか安岡章太郎なんて小説家は一人も応援に来ねぇじゃなぇか」。

 同書の最後は・・・、彼は俗受けする、というより俗受けすることしか腐心しない二流の人物だったからこそ、大衆の人気を獲得しつづけたともいえる。

 小泉純一郎・石原伸晃・猪瀬直樹による「裏切りの道路公団民営化」と、それを書いた櫻井よしこ。小泉純一郎の次に猪瀬直樹を部下にした石原慎太郎。そんな猪瀬を「背伸びしたゴマスリ小僧」と評す佐高信。橋下徹を義経から頼朝へと叫ぶと同時に、橋下徹を書き始めた佐野眞一を卑劣な奴と言い放った石原慎太郎。彼の知事辞任による棚ボタで都知事になった猪瀬直樹。

 ・・・彼らそれぞれの出自、それぞれの異性スキャンダルをも盛り込みつつ、昭和から平成の政治模様を描けば、それは超おもしろノンフィクションに仕上がりそう。それを書けるのは佐野眞一の他にはいないだろうなぁと思いつつの読書でした。ははっ、最後は佐野眞一へのエールになったところでエンド。 


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