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まゝならぬまゝごとのまゝしま暮らし [週末大島暮し]

simasigoto2_1.jpg 惹句書く虚業で生業ってきたゆえに、田舎暮しの出来ぬやわな身体で、生活技術もなく、独り暮す力もない。今回はまずロッジの鍵が開けられぬ。Y自動車にバールとドライバーを借りてきた。

 「おまいさんはバカだねぇ」を背に、ドアをこじ開けるのに奮闘。その日の夕陽は、年に数度の美しさだったらしいが、それを愉しむ余裕もなかった。二日目は庭仕事。草刈機エンジンがかからぬ。島のSに始動を頼む。三日目は薪の仕込み。チェーンソーのエンジンはかかったが、チェーン張りの調整ままならず弱腰仕事なり。次の日はベランダにオイルステイン塗り。金ヘラと電動サンダーでペンキを剥がしてハケで塗る。草刈りと同じく休み休みの作業。島の男なら、これしきのことサッとひと仕事だろうに。 逞しき骨太の手に出逢うと、わが手のひ弱さよと思う。情けねぇ。

 海へ出る道にアオダイショウがとぐろを巻いていた。総毛立つも、恐々見れば弱っていた。やがてカラスが来て、雉子も来てどこかに運んで行った。芭蕉に「蛇くふときけば恐ろし雉の声」がある。ここには、そんな自然の摂理が当たり前にある。家の外壁をタランチュラ級の大蜘蛛がスパイダーマンのようにツツーッと走った。爬虫類や蟲が怖くては田舎暮しは出来ない。

 島暮し二十年余。都会の生まれ育ちで、虚業で生きてきた男に田舎暮しは容易ではない。あぁ、色剥げた自作ベンチよ。これも塗り直しか。やらなければならぬ作業は次々にあって、次第に老いた身体がついて行けない。


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