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落合の蛍狩り [江戸名所図会]

edootiaihotaru5_1.jpg 『絵本江戸土産』四編に「落合の蛍」あり。文は・・・井之頭上水の水脈(みちすち)にて流れ早し、その水中にさし出でたる石あり 是を一枚岩と唱ふ この邊(あたり)蛍の光り 他に類なしとて都下の騒人(さうしん)夏月遊観(かへついうくわん)の地とす

 今もこの辺りでは「椿山荘の蛍」と「落合の蛍」が江戸風情を残している。「落合の蛍」は、今年は7月13・14日「おとめ山公園」(写真下)で、整理券発行で鑑賞会。あたしは行列嫌いゆえ行かぬ。

 次に『江戸名所図会』の「落合蛍」(写真上)の文を読む。くずし字の解らぬ字は、前後文から推測し、くずし字辞典で確認する。推測ということは、その字を知っている、またかくあろう表現だろうと知っているから頭に浮かぶワケで、その知識がなければ推測も不可。それが叶わぬなら「ふり仮名」頼りになるが、図版から判読できずでお手上げになる。

hotaru_1.jpgotiaihotaru7_1.jpg まず「芒種」がわからなかった。麦を刈り稲を植える六月上旬のこと。「蛍狩り」「芒種」共に俳句では夏の季語。これら漢字に加え、慣れぬ表現も多く、くずし字をスラスラ読むには、己の勉強不足を痛感するのみ。比して斉藤月岑の知性・センスに感心しきりと相成り候。

 此地の蛍狩ハ芒種の後より夏至の頃迄を盛?とす。草葉にすかる(すがる)ハ、こほ(ぼ)れぬ露かと うたかひ(疑い)、高く飛をハ(ば)、あまつ星かとあやまつ(蛍の描写ですね。葉がしなった先に露のように光り、そうかと思えば夜空の星と誤るほどの意か・・・) 遊人暮(くれる)を待て、ここに逍遙し壮観とす。夜涼しく人定り、風清く月朗なるにをよひて(しっとりと落着いた夜になって)、始て帰路をうながさん事を思ひ出たるも一興とやいはん

otomeyamakouen1_1.jpg 左頁に、後奈良天皇の「何噌」(ナゾナゾ集)より 秋の田の露おもけ(げ)なるけしきかな 「秋の田の穂、草が重たげだが、これなぁ~に?」ってナゾで、答えは「蛍」。この句から右頁の「落合蛍」の文章が生まれました、と暗示しているようです。この解釈が正しいかどうかはわからぬが、まぁ、どうにか苦労して読み切ってしまうと、今度は不思議に読めるようになっている。まぁ、こうして進歩は遅いも少しづつ読めるようになりましょうか。


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