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六ケ敷魅死魔幽鬼夫と認めて [くずし字入門]

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古文書で「むずかしく」は「六ケ敷」。この「しく」は「し」で終わる形容詞の連用形「シク活用」だろう。以下参考書『古文書の読み解き方』より…「厳敷=きびしく」「如何敷=いかがわしく」「怪敷=あやしく」「委敷=くわしく」「嘆敷=なげかわしく」「宜敷=よろしく」「久敷=ひさしく」「甚敷=はなはなしく」「紛敷=まぎらわしく」「睦敷=むつまじく」と多用される。「申間敷=もうすまじく」「致間敷=いたすまじく」。「敷」に替わって「鋪・舖」も遣われる。

 

この「六ケ敷」から暴走族らの当て字を思う。それを遊んで三島由紀夫は市ヶ谷自衛隊駐屯地(現・防衛庁)で自決の頃、ドナルド・キーンへの手紙に「怒鳴門鬼韻様」としたため、ドナルド・キーンは「魅死魔幽鬼夫様」と返信し、三島は文字通り「魅死魔幽鬼夫」になったそうな。(ドナルド・キーンの「東京新聞」掲載随筆」より)。

 

前回「令(せしめ)」をメモしたが、「為」も多用される。「為読聞」の「為=ため、としての他に…せ、かせ、させ、わせ、し」。「以御慈悲」の「以=もつて」。「可仕段=つかまつるべきだん」。今は「仕=つかまつる」は死語だろう。

 また古文書では「隙=ひま」で、「暇=いとま」、「閑=しずか」らしい。(参考:増田孝著『古文書・手紙の読み方』)。一方「聞く」と「聴く」は同じように遣われている。しかし今の辞書では「聴く=心を落ち着けて注意して耳に入れる。傾聴する」。音楽は創り手・受け手ともに演奏(歌手の喉を含め)の一音づつのこだわり、音創り、表現があり、それを受け手も愉しむゆえに「聴く」がふさわしい。音楽関係者が安易に「聞く」と記す場合はこだわり、矜持、誇りのない方と思われてもしかたがないかも。


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