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(17)妬くほどに箪笥に貯まる晴れ着かな [江戸生艶気蒲焼]

uwaki14_1.jpgゑん二郎ㇵ五六日ぶりにてうちへかゑりけれバ、まちまうけたるめかけ(待ち設けるたる妾)、こゝぞほうこう(奉公)の志ところと、かねてふくしておゐたぞんぶんをやきかける(予て=前もって、復して=反復しておいた存分=思い通り充分に妬きかける)。

妾「ほんニおとこといふものㇵ、なぜそんなにきつよいもんだねへ。それほどニほれられるがいやなら、そんないゝおとこにうまれ徒かねへがいゝのさ。また女郎も女郎だ。ひとの大じのおとこをとめておきくさって。又おまへさんもおまへさんだ。あい、そうなすつたがいゝのさと、まづこゝぎりニ志やせう」

艶二郎「はづかしいこつたが、うまれてからはじめてやきもちをやかれてミる。どふもいへねへこゝろもちだ。もちつとやいてくれたら、てめへがねだつた八丈と志まちりめん(縞縮緬)をかつてやらふ。もちつとたのむたのむ」

 絵は妬き餅に涙する妾と、まんざらではないと頭を掻く艶二郎。妾の後ろに立派な箪笥があって、それを模写した。墨の上に白線をひいた感があるも、木版ではどんな処理をするのだろう。あたしはガッシュ(不透明水彩)で白線をひいてみた。箪笥横には「起請さし」。ここは志ん朝の「三枚起請」を聴きたい。「まちまうけたる=待ち設けたる」。「設け=用意、準備、したく」。立派な箪笥は妬くたびにご褒美の着物が貯まる寸法。

 話は逸れるが、桜田常久『画狂人 北斎』(昭和48年刊)にこんな記述(概要)あり。~女性を美しく描いた歌麿はデブで、鼻が大きく開き、眉と眼のあいだが遠い醜男。彼が描く美人とはうらはらに、彼自身は腕も手も毛むくじゃらの男だった」。そう云えば京伝、北斎像はあるも、歌麿は自分の顔を誰にも描かせていない。作者はその歌麿の容姿をどうして知ったのだろう。(追記:栄之が「歌麿之像」を描いている。見たら、老いた相撲取りのようだった。桜田常久もこの絵を見たのだろう


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