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(22)江戸のイケメンは地紙売り [江戸生艶気蒲焼]

jikamiuri_1.jpgゑん二郎はのぞミのとふり、かんどう(勘当)をうけけれども、はゝのかたより、金ㇵ入用次第ニおくるゆへ、何ふそくなけれども、なんぞうわきなしやうばい(浮気な商売)をしてミたく、いろ男のするしやうばいㇵぢかミうり(地紙売り)だろうと、まだなつ(夏)もこぬにじかミうりとでかけ、一日ニあるいて大キにあしへ豆をでかし、これニハこりこり(懲り懲り)とする。此時、大キなすいきやうもの(酔狂者)だと、よほどうきな立けり。

女「オヤ、とばゑ(鳥羽絵)のやうなおほのひとがとふる。ミんな、きてミなせい」 艶二郎「そとをあるくと、日にやけるであやまる。こまつたものだ、またほれたそふだ。いろおとこもうるさいぞ」

 「ぢかミうり=地紙売り」。夏に扇の地紙を売る小商い。扇型に切った新しい紙を折って扇に貼った。色男が絵のような恰好(若衆姿、頭を被った手拭の端を口に含んで、地紙を肩に担いで)で売り歩いたそうな。馬琴の『燕石雑誌』に「昔ありて今はなきもの」と記されているそうだから、馬琴の時代にはもう姿を消していたか。興津要『大江戸商売ばなし』に川柳が紹介されていた。「地紙売り親爺に会って横に切れ」「地紙売り母に逢うのも垣根越し」「勘当が許りて地紙を売り残し」。勘当された道楽息子がやる商売と決まっていたらしい。

 「とば絵=鳥羽絵」。当時の漫画・戯画。ここでは「漫画のような顔の人が通るよぅ」と水茶屋の娘が騒ぐが、本人は「また惚れられた」と思っている。

 ひらがな中心に飽きて、そろそろ漢字のくずし字に移りたいが、『江戸生艶気蒲焼』も最後の盛り上がり。終わりまで頑張りましょう。最近は「くずし字」筆写より、絵の模写の方が愉しくなってきた。


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