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(27)最終章。浮名と夫婦になる [江戸生艶気蒲焼]

kabayakiend1_1.jpgゑん二郎ハ、ちやうどかんどう(丁度勘当)の日のべきれ(切れ)けれバ、こりごり(懲り懲り)としてうちへかへりてミれバ、ゆこう(衣桁)ニミめぐりにてはがれ(三囲にて剥がれ)たる小袖かけてあるゆへ、ふしぎにおもうおりから、一ま(間)よりおや弥二ゑもん、ばんとう候兵衛たちいで、いけんする。ゑん二郎ははじめてよの中をあきらめ、ほんとうのひととなり、うきなもおとこのわるいもふせう(不承)して、ほかへゆくきもなく、ふう婦となり。もとよりしんだい(身代)ニふそくもなく、すへはんじやう(末繁盛)ニさかへ、しかし一生うきなのたちおさめ二、今までの事をくさぞうし(草双紙)にしてせけんにひろめたく、京でんをたのミて、世上のうわきびとをきやうくん(教訓)しける。

弥二右衛門「わかきときハけつき(血気)いまださたまらす、いま(戒)しむる事いろいろありといふを志らぬか。すべてあんじがこうずるとミなこうしたものだ。おそろしきどろぼうとまでミをやつせし、われわれがくふうのきやうげん(我々が工夫の狂言)。いごハきつとたしなミおれ。きのすけやわるい志あん(喜之介や悪い志庵)とも、もうつきあふまいか。そちばかりでハない、よの中二だいぶかういうこゝろいきのものがあるて」 艶二郎「こゝでやきもちをやかれてハ大なんぎだから、めかけもどこぞへかた付ませふ」 浮名「わたしは大きにかぜをひきました」

 「ゆこう=衣桁」だが、あたしが子供時分には「いこう」と言っていた。「あきらめ=諦め」ではなくて、「明(あき)らむ」で見きわめ、明らかにする。「ふせう=不肖」ではなく「不承=ふしやう」で、我慢すること。(古語辞典)

 オチはこの事を京伝に頼んで草双紙に書いてもらって、世の浮気者の教訓にするというくだり。十九、二十歳の艶二郎の妾が四十路の女で、夫婦になった浮名もかなりの大年増とみた。まぁそんなこたぁ~どうでもいい。これにて山東京伝『江戸生艶気蒲焼』完読。明日にでも参考資料一覧を記して終わります。


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